まだ苦しいでしょう?
人間関係が全然晴れない。
本当は何も考えず、遊んだりしてたいよね。
遊んだ後の自宅は現実で闇。
帰りたく無い、どうしようかと迷う日々。
でもね、本当に光は差し込むから。
今は闇でも光は差し込むから。
信じて。
親は愛してくれずとも
いつか愛してくれる人が現れるから。
10年後の私から。
涙はたくさん流して良い。
昔の私をたくさんヨシヨシして。
愛してくれなかったのは自分のせいじゃない。
自分に責任を過剰に押し込まないで。
自分を大切にして。
本当は分かっていた。
気づいたら出かけていたり。
一人だけ預けられていたり。
まだかな、まだかな、とずっと待っていた。
あ、やっぱり自分のこと嫌いなんだ。
と、ふと思う事がたびたびあった。
なんの確証もなかったけど。
「兄だけ、引き取りたい」
母からそう告げられた。
やっぱりな。
分かっていたけどポロポロと涙が溢れ出して止まらなかった。
知ってた、僕のこと嫌いだって。
ここだけの話でここだけにしか書かない。
ちっ、ちっ……
針の音で目覚める朝。雀もチュンチュンと同じようなリズムで鳴いている。
少し上がる瞼を何度か瞬きして僕は起きる。
時計を見れば短い針は七時を指していた。
あ、学校……。
「……やべ」
「やっと起きた」
ドタバタと騒がしい音を立てる僕を観て母が呟く。
「起こしてって言ったのに」
「お玉で叩いても起きないのにどうやって起こせっていうの?」
お玉?……味噌汁を注ぐあの調理器具で?叩いた⁉︎
「……暴力」
「何とでも言いなさい。学校に間に合うなら」
「やべ、間に合わない!」
七時二十分の電車を逃せば後は五十分の電車を待つしかない。それだと間に合わない!
バタバタと走って玄関を出る。冷たい風が頬を摩る。
ーーおはよう、遅刻魔。
またアイツからそう言われるんだろうな。
自然と笑みが浮かんでくる。今日も来ているだろうか。
嫌。
漫画のような台詞だからか?
僕は返ってきた言葉が聞き間違いじゃないかと思い、顔を上げる。
彼女は顔を逸らして口元を尖らせている。
ああ、不機嫌。
「間違ったことでも言った?」
「1000年先も一緒にいたいなぁってことば」
彼女の口からリピートされるとちょっと照れ臭い。
僕の想像じゃ否定されることもなく彼女が照れていつものように笑顔でフフフと応えてくれるかと思っていた。
現実は逆だ。片眉を吊り上げ僕を睨んでいる。背中に寒気が……。
「君と1000年……いいや!ずっと!ずっと一緒に!」
「めちゃくちゃ焦ってる」
「焦るに決まってるだろ!こんな事で君と喧嘩みたいになってるんだから」
「喧嘩っていうか……まぁ、貴方からしたら喧嘩……かな」
首を傾げる彼女。あれ、マズイなって思ったのは僕だけ?
1000年先もとかあり得ないから、そんなに長く一緒にいたくない。
なんて返されてフラれる……。どうしよう、どうしよう!
言葉を探しているといきなり彼女から手を握られた。
「ほわぁ⁉︎」
思わず変な声が……。
「1000年と言わず、数字で表せないくらい私は貴方と一緒にいたいです」
視線を上げると目を細めてフフっと笑う彼女がいた。頬が少し赤いように見える。
この顔を僕は待っていた。それに想像以上に美しい。
「……キスしたい」
「それは後ほど」
僕は今日、いや、1000年先とも、ずっと君の隣にいたい。