コーヒーで一息、口をゆすいでから
一眠り、目が覚めると
「たこ焼きは揚げないよ、だって焼きってついてるし」
馬鹿な寝言をほざいた事に愕然とする
でも、張り詰めていたものが程よく緩んだ
束の間の休息、身体も心も
怖い?大丈夫だよ
初めての職場は怖いけど
慣れちゃえば、学校の課題と変わらないよ
私も最初は異世界に来たように
ドキドキが止まらなかったけど
すぐに馴染めたし、仲間も出来た
だから、一歩踏み出してみて
力を込めて、せーの
題 過ぎた日を想う
「遠い目をして、どうしたの?」
土手に座り込みながらいつしか
昔の光景を思い返していた
よく遊んでくれた祖母は亡くなっていて
駅前にあったデパートはとうに閉店していて
そして、僕たちの母校も、去年焼けてしまった
そんな事ばかりが思い出される
「それより、明日の話しない?」
恥ずかしかった、君が隣にいる今を放って
どうにもならない事を想っていたなんて
目が覚めた、未来を共に造るのに、
過去なんて関係ない
君がいれば、どうにでもなるし、どうだっていい
死んだらお星様になる
子供はみんなそう言われて育つ
何となく嘘だと気づいているが
言っては可哀想なので、付き合ってあげる
代わりに、質問には答えてもらう
今の流れ星は誰?あの赤い星は何で瞬くの?
お父さんたちは、何て言う星座になるの?
僕はいつ死ぬの?
途端に真っ青になって、フリーズする
本当に昇天してしまいそうなので
飽きたふりをして解放してあげた
自分の子供には絶対言わないと誓いながら
「踊りませんか?」
そう言いたげな視線と動作で訴えてくる
一時間程前からずっと踊っている彼から。
一緒に踊った人達は、みんなもう一度踊らないかと
彼に言う。上からっぽい言い方は
僅かなプライドがそう言わせるのだろうか
だが、彼はそれには耳もかさず
新たな相手を求めた結果、私に狙いを定めたようだ
節操がないと呆れながらも、それに応じた
曲が始まり、足を浮かせて、降ろした瞬間に悟った
化身
暗い感情、不安を一時だけ忘れさせてくれる
宴の精霊、酒の守護神たちの抱擁