旅路の果てに
ガタゴトと電車に揺られながら、行く宛のない旅に出る。
時折、目的地を決めないで思い立った瞬間に支度をして出かけるのだ。
さて、今日はどこまで行けるか?
見たことのない車窓の景色にワクワクしてくる。
やがて、響きの良い駅名に降り立つ。
観光マップやブックで施設を確認して巡り歩く。
もしここに住んだらどうなのかなとか、想像したりしてみて。
これからも旅に出て、色々なところを巡って、いつかは穏やかな生活が気に入った土地で出来るといいな。
いつも私の愚痴を聞いてくれてありがとう。
いつも私を励ましてくれてありがとう。
いつも気弱になる私を叱ってくれてありがとう。
いつも私にアドバイスをしてくれてありがとう。
いつも私に寛容でいてくれてありがとう。
いつも私に寄り添ってくれてありがとう。
いつも私を笑顔にしてくれてありがとう。
私に関わるたくさんの人に、そしてあなたに届けたい。
ありがとう、という感謝の言葉を。
今日は何処へ行こうかな?
映画を観るついでにまだ行っていないところへ行ってみようかな。
そんなことを考えつつ、身支度を整える。
バッグの中身はOK?
貴重品、忘れ物はない?
すべて確認し終え、いざ出発!
自分の時間で電車に乗って街へ繰り出す。
さあ、探索開始だ!
「優しさ」
という言葉は曖昧で偽善的なものに感じる。
あなたのためを思って敢えて厳しい言葉を使っているの、
と言われた。
私は「はい」と返事をしつつも、内心では本当かな?私のことイラつくからそう言っているんじゃないの?とか思っている。
ただ周りの人から話を聞くと、言いたいことをはっきり言って内に溜め込まない、言葉は厳しいときもあるけれど下の人のことは面倒を見てくれる人なんだとか。
じゃあ、やっぱり優しいのかな?
今のところ、前向きに考えたり懐疑的に思ったり。
もう少し会話して、理解してみようかなとか思ったりもする。
「あれ? おかしいぞ?」
運転しながらつぶやいた言葉は、宙に消える。
どんどん南下している?
北にある自宅から遠ざかっている?
そんな状況で携帯に入電。友人からだった。
「ごめん。左折なのに右折って教えちゃった。もうだいぶ運転してるよね?なんとか自力で帰ってもらっていいかな?ホントにごめんね」
どうりで見慣れた景色にならない訳だ。
仕方ない自力で帰るぞと切り替えたものの、また道を間違えた。
「何でなの⁉︎」
焦りながら運転する。
三度目で同じ建物と、標識を見てぐるぐる同じところを回っているのだと気づく。
ならば行ってない方向へ行く。
そうして走らせて見慣れた景色が現れてくれた。
自宅に帰り着いたのは午前二時過ぎ。
五時間以上のミッドナイトランは疲れた。
これ、ホントの話。