鶯になりたかった鳩

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4/29/2024, 12:43:25 PM

蒸し暑い夜 羽毛布団は放り投げて

ウールのコートとは しばしの別れ
(クリーニング屋のクーポンを使った試しがない)


春はどこへ行ったやら 冷蔵庫の温度が上がる


噴水の季節 川へはもう行かないけれど

セミが着々と準備を進めている


最高気温が更新されたと毎年騒ぐテレビ

もっと報じるべきことがあると太陽は嘲笑う


蒸し暑い夜 風に乗って

シティポップが気だるく流れる

ストリーミングでも構わんが

でも真空管 そこにレコード 置いといて

4/28/2024, 11:12:56 AM

拾った琥珀に 虫が入ってた

アリかクモか はたまたハエか

幸福か不幸か 分からない姿をしていた



宇宙はどんどんと 拡大している

これまでに何人が生まれて 何人が死んだのか

地球はそんなことに無関心で 

たぶん むしろ 植物の方が それを気にしている


プラネタリウムの季節が近づく

あのひかりは 何万光年前のものなのか

気づいていたけれど それは偽物だった

衣替えだって 何百回も できないね

刹那 


4/21/2024, 2:14:28 PM

雨が降る 雲が欠けていく

修学旅行の帰りのバス みんなが疲れて寝ていた

カーテンの隙間から見た外

灰色の雲が世界を 食らおうとしていた

その隙間から 雫のように差し込む白い光

誰かが 「天使の階段」と叫んでいた


あれから僕たちも大人になっただろう

木々の雫にも 雲からの光の雫にも

もはや目もくれない日々

雨が降る 欠けていく空

自然は変わらぬと自惚れるなかれ

4/11/2024, 12:49:08 PM

落ち葉が去って 桜が咲いて

それ見て酒飲み 宴がおわる

散った桜に 興味はないのさ

だってもう 蝉が鳴いているでしょう

抜け殻みてたら イチョウの絨毯

銀杏の匂い マフラーの出番

防虫剤の匂いのマフラーに毛玉が生まれたら

梅が今さ今さと湧き上がる


そのうち 背骨が曲がって 三途の川さ

言葉にできない なんて 言わずに

想いは言わねば伝わらぬ

誰も時間も待っちゃくれない



3/24/2024, 12:22:53 PM

気象予報士が 予報を告げる

当たったとしても 外れたとしても

会社に着く頃には みんな忘れている話

傘を握るかどうするか それを決めるだけのこと


ところにより雨


100年生きたとしても 訪れることのない場所には

傘が壊れたと悪態をつく人

てるてる坊主を恨む人

洗車したばかりの車で出かける人がいる


たぶん一生出会うことはないけれど

その人も僕も また訪れる晴れを待っている


そんなことに関係なく 衛星は写真を送り続ける

僕たちが傘を握るために

また晴れが来るのだと安心させるために


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