鶯になりたかった鳩

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3/12/2024, 12:49:13 PM

地球儀くるくる 海はこんな色だっけ
ハワイと僕の住む国は少しずつ近づいているらしい
わずか5,000万年後にくっついてしまう


プラネタリウムぼんやり ガラスを拭かなくちゃ
窓を開ければそこに ほんとうの光はあるんだけどね
カセットを変えれば そこは別世界の夜空

人工衛星のパーツはゴミとなって
いずれ落ちてくるかもしれない
未来人のもつ隕石は 人工物ばかりだとさ
(日本産は高価です、なんてね)

生まれるまえと死んだあと
そこには誰かの生活がある 
ぼくとは関係のないこと

地球儀くるくる もっと知りたかったと後悔する前に
靴紐を締めて
人工知能も教えてくれない 
とっておきを探しに行こう

3/10/2024, 1:22:57 PM

あなたを想う人がいるなら 
まずはその人を想うべきで
それすらできずに愛を語るの?
(だって、「隣人を愛せ」とは少し違うわ)

平和が要るなら自ら負けるの
無駄に大きなプライドは ゴミ箱へ
(「後出しジャンケン」で負けることができて?)

どちらも教科書には載っていないし
人工知能だって導き出せない
有名なネズミのキャラクターだって教えてくれない

誰かが遺した音や文字、絵
その断片を拾って かき混ぜるしかないの
(バンクシーに三島も一応太宰も入れましょう)

そんなことより今日は肌荒れしているの
無知の知、それがわかったのよ
だから 早く寝ることに価値がある

だって
わたしたちが扱うには余りにも大きすぎるんですもの

3/9/2024, 2:30:54 PM

土産屋の小さな袋が何故か捨てられず

とっておいた何枚かの袋が煎餅の缶から出てきた

イルカの描かれた袋のセロファンテープ

それは荒く剥がされていて

中に何が入っていたかは もうわからない


その日、おそらくは夏の日

手にしたデジタルカメラが嬉しくて

水族館で見ていたのは 目の前の魚ではなくて

画面越しの魚 

写真は全てぶれていた 

もう出口になってしまったことに気づいた僕は

「再入場」という言葉を覚えた


ぶれている魚たちは まだ生きているだろうか

今のぼくをみて 何を思うだろうか

2/28/2024, 12:49:23 PM

中学から追っかけていた バンドの

コンサートに行くために 僕は 遠い街へ来た

満員の新幹線 誰もがどこかに向かっていた



横断歩道 目線を交わすことなく すれ違う人

混んだ電車の中 ふと目があって逸らした人

駅の料理屋の隣で 「旦那が死んで半年経つけど

いまだに涙が出る」と話していた人



いよいよ会場が近づく

同じ柄のタオルは 同じ音楽を聴いてきた証

だからといって 声を掛け合うわけじゃない

同じ場所に集い 音に踊って 誰もが人生を振り返る



でもそれが終われば 僕も周りもただの人

二度と会うことは 多分なくて

それでも それぞれが人生を紡ぐ


横断歩道 すれ違う人

目線交わすことなく 違う世界へ向かっていく

2/25/2024, 11:11:45 AM

あえて水たまりに
突っ込んでいくかのような勢いで
ひたすらに歩き つかんだ日常

その結果はまさに...

ただ繰り返している毎日
歯車だなんて まあよく言ったもんさ

仕事を増やすための仕事
其奴の評価のための仕事
だれも 責任は取っちゃくれないさ
だれも 汚れた靴紐に気づかないさ


食いしばった歯が叫ぶ
「ご機嫌取ったぜ賞与をくれよ」

物憂げな空が 嘲笑う
「ずいぶんちっぽけなことで命を削っているんだな」

全身の血が怒る
「苦しみの先に何があるんだい」

物憂げな空は 唄った
「そんなことより 目の前をみろよ
 放電と充電を繰り返しちゃダメさ」

太陽が見計らったかのようにのぞく
「ニセモノの『哲学』しかない奴らに
 どうか 負けないでくれ
 何に命を削るべきか よく考えるんだ」

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