きっと明日も来るだろう
そんな確約はないもので
寝たら 三途の川かもしれなくて
朝日に会えない可能性もあるわけで
◇
地獄の沙汰も金次第ですが
(世知辛いので、閻魔様も積み立てNISAを始めたそうです)
そもそも通貨が円じゃなくて
円安の可能性もあるわけで
仮想通貨かも、しれなくて
◇
わたしが 三途の川に行こうとも
変わらず朝日はうごめいて
誰もが 渋滞に疲れ苛立ちを覚える日々
それは続いていく
◇
今日を懸命に生きようと踏ん張りすぎる必要はない
だって明日が来たことには
それなりの価値があるでしょう
三途の川で 後悔せぬよう 頑張りすぎても
きっと何かしらの後悔はあるものでしょう
(植物の水やりを忘れたことかもしれない)
大きな後悔だけは しないように紡いでいこう、
そんな気概じゃ 閻魔様に笑われるだろうか
一、 進化論。食べ物ですか、それは?
二、 強風への努力はしていますが限界はあります。
(自然は怖いですね)
三、 想像を超える形にはなりません、あしからず。
四、 横雨?傾ければ良いでしょう。
五、 紫外線には勝てるようになりました。
不完全でも良いのです、雨がいくらか防げれば。
自分で言うのは、いくらか味気ないでしょうか。
傘より。
空の色は刻一刻と変化し
二度と同じ色が現れることはない
その色に応じて 鳥や虫たちは 行動を変える
絵の具の綺麗な部分だけを
混ぜ合わせたような朝焼けから
火の鳥の復活を思わせるような夕焼けまで
繰り返し繰り返し 現れては消えていく色たち
君と会っている日だけは なぜか
すぐに色が入れ替わっていく
手を振って ふと顔を上げると
真っ黒の空に 真っ白の星が佇んでいた
「愛車」に乗れば どこまでも行ける気がした
この二輪があれば 果てなきところへ行ける気がした
メーターとギアのついた自転車のカゴに
相棒のクマのぬいぐるみを載せて
目に落ちる汗など気にすることなく
ただひたすらにペダルを漕いだ
◇
信号が赤に変わり タイヤはおとなしくなった
青い空を見上げると 魚の形をした雲がみえる
◇
まさにいま 海の中では 見たこともない魚たちが
命を削って 泳いでいる
二度と会うことのない魚たちは
今この瞬間にも 命を育んでいる
そして 誰も知らぬところで
その命が燃え尽きている
ぼくは寒気がしたものだった
◇
時速30キロメートルを越えれば
メーターがどうなるのか 景色が変わるのか
その答えを求めて 坂道を必死に下る
死んだ魚たちがどこへ行くのか そんなことを
考える暇もなく ただ 必死に漕いでいた
蝉の声に飽きたころ、
庭の倉庫で祖父の麦わら帽子を見つけた。
クタクタになって、ほつれていたけれど、
なぜか、また祖父に会えたような気がする。
祖父は朗らかな人であり、
詩を愛し、本を愛し、そして自然を愛していた。
いつ会っても本の匂いに包まれている人であり、
私が生まれた日には、私の名前を主題にした詩を
作ってくれた。
かなり昔には、猪を狩って、猪鍋を身内に披露し
「この産毛が美味しい」と語ったという。
祖父は私が幼い頃に亡くなった。
酒を交わして語り合いたいこともたくさんあるが、
今はただ、墓を経由して語りかけるのみである。
再び会うことができたとするならば、
「大きくなったね」と声をかけてくれるだろうか。
そう思いながら、祖父の麦わら帽子を
そっと持ち上げると、ちいさな蜘蛛が一匹
倉庫の奥へと逃げて行った。
私は麦わら帽子を少しだけ叩き、綺麗に置き直すと、
倉庫を閉じた。
まだまだ夏は続く。