『あなたとわたし』
川の彼方に行きたくて私、
渡し守の貴方にコインをあげたの。
でも通貨が違ったみたい。
だから今度はお歌を歌ったの。
でも言語が違ったみたい。
お金も力も素敵な贈り物も持っていない。
それでも私、この川の彼方に行きたいの。
訴えたって渡し守の貴方、私のことを見向きもしない。
すっからかんの船を渡し、彼方からまた帰ってくる。
貴方は一体、何処に何を運んでいるの?
200年彷徨うのだって私、別にやぶさかではないわ。
だって貴方永遠だし。貴女だって永遠だし。
ねぇ、渡し守の貴方。
いつか私をこの川の彼方へ連れて行って、
彼方の貴女へ私を渡してね。
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〈貴女と私〉
〈彼方と渡し〉
〈貴方永遠だし〉
『暗がりの中で』
膝を抱えてうずくまる貴方に灯りをあげましょう。
この蝋に火を灯せばきっと、
貴方を害するすべてのものから守ってくれる。
そんなおまじないみたいな灯りを貴方に。
軈て蝋は溶け、火は消え、灯りは失われるでしょう。
そうしたらまた灯りを届けにきます。
だから貴方は何も心配しないでいてね。
『愛言葉』
例えお前が生ゴミになったとしても愛してるよ。
嗅覚までは誤魔化せないから、
「くっせぇ」って言っちゃうかも知んないけど。
別にそれが悪いって意味じゃないから。
鼻つまみたくなるくらい臭くても、
目背けたくなるくらいグロくても、
それがお前であるなら俺は愛せるから。
吐瀉物だろうが痰だろうが愛するから。
お前が五十過ぎた頭皮の薄いオヤジになろうが、
体臭がきつくて脂でギトギトのオヤジになろうが、
それがお前ならそれで良いんだ。
どんな世界線でだって俺はお前が好きなんだ。
中指立てて人を虐めるような悪人でも、
快楽のために人の命を奪うような犯罪者でも、
弱者ばかりを狙う救いようのない人間だとしても、
それでもお前を愛してるよ。
否定はするし反対もするし、
時にはぶん殴ることもあるかも知んない。
でも絶対に嫌いにはならないよ。
絶対に一人にはさせないよ。
だからどうか、俺のことを嫌わないでいてね。
『カーテン』
カーテンが風を含んでふくらんだり、
風に引かれて窓の外へいくことを
『窓が呼吸している』と表現した君に
私は一生追いつけない。
『力を込めて』
力を込めて殴ってやったんだ!
元の形が分からなくなるまで殴ってやったんだ!
だって君が悪かったから。
僕を怒らせた君が悪かったから
だから殺意を持って君を殴った。
悪かったとは思ってるよ。
そんなに殴るつもりはなかったんだ。本当さ
でも一度込めたら中々消えなくて
殺意はきっと愛を含んでいて
それが心地良かったんだ。
それでもね、
僕は別に君を傷つけたかったわけではないし
君に嫌われたかったわけでもない。
信じられないかもしれないけれど、
君のことを愛しているんだ。本当に
込めた力は愛なんだ。
受け取ってくれてありがとう
大好きだよ。