冬山210

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1/27/2023, 8:14:57 PM

『優しさ』

「君にはこれが似合うよ」って言ったのは、
優しさなんかじゃなくてもっと醜いもので、
彼奴の好みの格好なんてさせたくなかったからなんだ。

1/24/2023, 3:57:31 AM

『こんな夢を見た』

お姫様になる夢を見た。

少女漫画みたいな恋をして、
好きな人と結ばれる夢を見た。

魔法使いになる夢を見た。

探偵になる夢を見た。

小説家になる夢を見た。

二次元へトリップする夢を見た。

どこかに自分の分身が存在している夢を見た。

実況者になる夢を見た。

小説家になる夢を見た。

いつか誰かが救ってくれる夢を見た。

ニートになる夢を見た。

自分が考えた作品が世に出る夢を見た。

小説家になる夢を見た。

推しに終わらせてもらう夢を見た。

もの好きな愛好家に飼われる夢を見た。

楽に生きていく夢を見た。

夢を見る夢を見た。

夢を見る夢を見た。

小説家になる夢を見た。

1/19/2023, 10:26:20 AM

『君に会いたくて』

君に会いたくて絵を描くんだ。
君に会いたくて言葉を綴る。

君は此処にしかいないからさ。
私の中から出ておいで。
その姿を見せて欲しい。
私は君に会いたいの。

心の中だか頭の中だか、
何処にいるのかは分からないけど。
君は私の中を巡って満たしてくれている。
血液のように、ならば、血管の中にいるのかもね。

出ておいで。
血管の中にいるのなら、
指先が切れたら君は溢れ出してしまうのだろうか。
勿体無いからやめてくれ。
そうだ、勿体無いな。


私は君をたくさんの人に見てもらって、
たくさんの人の心の中に君の居場所を作りたいんだ。
いつか私が息を止めても、
誰かの中で君が生きれるように。
私と一緒に心中なんてして欲しくない。

けど、君が誰かに知られてしまったら、
私だけの君じゃなくなってしまうのだろう。
誰かの中で生きる君は、
私の知る君ではなくなってしまうのだろう。

それは少し、かなり、とても、嫌だなぁ。
やっぱり一緒に…………とも思うけど、
君に死んで欲しくはないんだ。


君に会いたいな。
君に。
君って、誰だろうね。
ちゃんと決めてもないのに会いたいだなんて、
言わないで欲しいよね。
ごめんね。

1/10/2023, 5:41:38 PM

『20歳』

20歳が何だ。
大人が何だ、成人が何だ、何だっていうんだ。

今や100年だって生きれる時代だぜ?
人生の5分の1を生きただけで大人になれると?

僕は確かにこの世に生まれて20年経ったらしいけど、
中身の成長速度は人によって違うわけで。
経験不足な私はずっと子どものままだ。

なんて、「大人になりたくない」なんて、
言ってられるのも今のうちで。

30越えても40越えても、50、60、越えてもずっと、
「大人になりたくない」なんて
言い続けてるのかと思うと恐ろしくなる。

きっとその頃には、「子どもに戻りたい」って
言うようになるのだろうな。


まぁ、けれど、20年も生きてるのかと思うと、
私って頑張ってるよなと思います。

恵まれてるだけだ。
自分の力で生きてるわけじゃない。

それでも偉いよ。偉い偉い。
みんな偉いよ。20年も生きててすごい。頑張ったね。

1/8/2023, 1:10:23 AM

『雪』

あれは確か小学五年生の頃。
雪が積もっていた二日間だけ、
一緒に遊んだ男の子がいたんだ。


ここでは仮に「《琴羽(ことは)》くん」と呼ぼう。

その日、私は友達と一緒にある公共施設に行っていた。
そして同じく来ていた顔見知りの同級生と、
初対面で学年が一つ上の琴羽くんと一緒に、
施設の周りの雪かきをすることになったのだ。

顔見知りの同級生とすらまともに話せないような私は、
当然初めて会った琴羽くんとも上手く話せなかった。
一つ上の学年のかっこいい男の子。
それだけで緊張していたし、同時に憧れもした。

雪かきとは言いつつも、
集めた雪で雪合戦をしたり雪だるまを作ったりと、
それはもう楽しい時間だった。
初対面の人と一緒に遊ぶなんて今では考えられないが、
走り回っている内に緊張もほぐれていたのだろう。

とはいえもうお別れの時間となってきたとき、
彼は「明日も遊ばないか」と私達に提案してきた。
そうして私達は翌日も一緒に遊んだのだ。

彼の家が施設の近くにあったため、
そこに残っていた雪で小さな雪だるまを大量に作った。
「丸くするのが上手い」と褒められた記憶がある。
何だかそれがとても嬉しかったんだ。


琴羽くんと遊んだのはその二日間だけだ。
それからは学校で会うことも施設で会うこともなく、
彼は卒業し、中学生になっていた。
翌年同じ中学校に私も入学したわけだが、
会うこともなければ名前を聞くことすらなかった。

昔たった二日間だけ遊んだ相手。
例えそのこと自体は覚えていたとしても、
相手の名前や顔は忘れてしまっているものだろう。
私が琴羽くんのことを覚えているのは、
当時の私が彼に小さな恋心を抱いていたからだ。

彼は今どこで何をしているのだろうか?
恋心を抜きにしても、
あの二日間はとても楽しい時間だった。
子どもの頃の思い出として、
美化してしまっているだけなのかもしれないけれど。

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