冬山210

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8/1/2022, 5:41:31 PM

『明日、もし晴れたら』

明日、もし晴れたら、君に傘を返しに行こう。
電車に乗ってバスに乗って、君の元まで届けに行こう。

日傘をさして傘を持つ。
晴れているのに傘を持つ。
すれ違いざま幼子に、「なんで傘持ってるの?」と
指をさされたって気にしない。

今、私にはこの傘が、赤い糸のようにすら見えている。
これは君と私を繋いでくれる運命の傘なのだ。
小指で持つには少し重たいけれど、
その重みすら愛おしい。

7/31/2022, 6:25:40 AM

『澄んだ瞳』

その瞳が欲しいと思った。

ガラス玉のように透き通っていて、
冬の夜空のようにしんとしていて、
朝露のように煌めいている、
その瞳が欲しいと思ったんだ。

綺麗にとって保存してあげたかったけど、
とってしまったらその輝きは消えてしまうのかな。

仕方がないから君のまま大切にしようと思う。
君のその澄んだ瞳が濁ることのないように、
ずっとそのまま僕のところにいてくれるように、
大切に大切に育ててあげよう。




見るもの全てを綺麗なものに変えてあげれば、
その瞳は綺麗なままだろうか?

良いだろう。やってやろう。
その瞳のためなら僕は何だってできてしまう。
汚いものも醜いものも、
君に相応しくないものは全部僕の手で退けてあげよう。


ほら、ごらん。
君のためだけに用意された綺麗な世界だよ。
ここで二人で暮らしていくんだ。
君の瞳を守るために。

………?
どうしてそんな目をするんだ。何がいけないんだ。
君の瞳を曇らせるのは、一体……。
ああ、そうか。そうだね。
汚いものがまだあったね。

7/24/2022, 9:43:39 AM

『花咲いて』

花咲いて 花咲いて 萎んで枯れて
あの子が あの子が 泣いているの
「大丈夫 大丈夫」 頭を撫でて
慰めてあげようか


二畳半の王国 囚われのお姫様
羊枕の上で今日も眠るの

ラベンダーのお香焚いて 薄紅の頬に触れる
忌々しいその左目 僕に頂戴 ね


 仄かに香るラーヘンデル
 あたたかな大きな手のひら
 愛しいあなた思い出して
 瞳を開けるの 開くの 入るの 光

「    …!」



花咲いて 花咲いて 蝕んで育つ
あの子が あの子が 泣かないように
「大丈夫 大丈夫」 まぼろし撫でて
幸福を迎えようか

もう眠らなくていいよ
囚われなくていいよ
何処へでも自由にお行きなさい

7/22/2022, 8:44:06 PM

『もしもタイムマシンがあったなら』

タイムマシンがあったところで、
過去も未来も変えられやしないよ。
俺にはそんな力も勇気もないもの。

俺にできるのは私の頭を撫でてやることくらいだ。
過去へ行って抱きしめてやろう。
「大丈夫だ」と言ってやろう。
きっとそれだけで私は少しだけ楽に生きられる。

7/22/2022, 9:44:10 AM

『今一番欲しいもの』

完成した期末のレポート。
来週受ける期末テストの答え。
今期の単位。

だが、まぁ、そんな現実的な本音はつまらないな。


今一番欲しいものは、楽園へ行ける権利だ。
極楽浄土でも桃源郷でも理想郷でも何でも良いが、
とにかくそのような場所へ行ける権利だ。
アヴァロンでもイーハトーブでも良い。

善い魂の者が逃れようのない苦しみを抱えていて、
心から「助かりたい」「楽になりたい」と願ったときにメシアが生まれるんだよ。
メシアは神様からの命を受けて願い主を楽園へと導く。
楽園には願い主を害するものは一つもないんだ。

という救世主システムがある世界観の話。
設定を考えるだけ考えて放置している。



文才が欲しいな。作りかけの物語を完成させたい。
必要なのは創作意欲か。
今一番とか、欲しいものが多すぎて選べないわ。

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