『澄んだ瞳』
その瞳が欲しいと思った。
ガラス玉のように透き通っていて、
冬の夜空のようにしんとしていて、
朝露のように煌めいている、
その瞳が欲しいと思ったんだ。
綺麗にとって保存してあげたかったけど、
とってしまったらその輝きは消えてしまうのかな。
仕方がないから君のまま大切にしようと思う。
君のその澄んだ瞳が濁ることのないように、
ずっとそのまま僕のところにいてくれるように、
大切に大切に育ててあげよう。
見るもの全てを綺麗なものに変えてあげれば、
その瞳は綺麗なままだろうか?
良いだろう。やってやろう。
その瞳のためなら僕は何だってできてしまう。
汚いものも醜いものも、
君に相応しくないものは全部僕の手で退けてあげよう。
ほら、ごらん。
君のためだけに用意された綺麗な世界だよ。
ここで二人で暮らしていくんだ。
君の瞳を守るために。
………?
どうしてそんな目をするんだ。何がいけないんだ。
君の瞳を曇らせるのは、一体……。
ああ、そうか。そうだね。
汚いものがまだあったね。
7/31/2022, 6:25:40 AM