冬山210

Open App

『明日、もし晴れたら』

明日、もし晴れたら、君に傘を返しに行こう。
電車に乗ってバスに乗って、君の元まで届けに行こう。

日傘をさして傘を持つ。
晴れているのに傘を持つ。
すれ違いざま幼子に、「なんで傘持ってるの?」と
指をさされたって気にしない。

今、私にはこの傘が、赤い糸のようにすら見えている。
これは君と私を繋いでくれる運命の傘なのだ。
小指で持つには少し重たいけれど、
その重みすら愛おしい。

8/1/2022, 5:41:31 PM