冬山210

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7/17/2022, 8:09:08 AM

『空を見上げて心に浮かんだこと』

空は広くて大きくて、遠いよね。
当たり前のように僕らの頭上に広がっている。

空の先に宇宙があることは、
海の底に深海が広がっていることと
同じことだと思うんだ。
深空とでも呼べば良いのにね。

深海も宇宙も未知に溢れているけれど、
人はどれだけ深く、どれだけ高く、
この世界を知ることができるのだろう。

ちょっとだけ悲しくなった。
少しだけ怖いよね。

大丈夫、明日も生きていけるよ。
終わりの日は決まっているのだから。

7/11/2022, 3:05:51 AM

『朝、目が覚めると泣いていた』

朝、目が覚めると泣いていた。
そんなことが一度でもあっただろうか。

泣くほど悲しい夢も、泣くほど怖い夢も、
多分一度も見たことがない。

……ああ、でも、子どもの頃に一度だけ。


お母さんと一緒の布団で寝てたとき、
怪獣に追いかけられる夢を見たの。

怖くて怖くて、「逃げなくちゃ!」って思って、
必死に手足を動かした。

ふと目が覚めたのだけど、まだ寝ぼけていて、
私は現実でも必死に手足を動かしていた。

そしたらびっくり。

私は走ってるつもりだったんだけど、
横にいるお母さんのことをぽかぽか叩きまくってたの。
お母さんは起きてなかったけど、顰めっ面になってたのを覚えてる。あの時はごめんね。

兎に角そのくらい怖かったの。
子どもだったこともあって、あの時だけは泣いていたのかもしれない。もうずっと昔の話だけれど。

7/6/2022, 2:56:28 AM

『星空』

学校に泊まったことはあるかい。
夜の屋上に出たことはあるかい。
あれは人生で一番幸せな時間だった。


重たい扉を開けるだろう。
やけに高い段差を上がって外に出る。
少し肌寒い。
長袖のジャージが暖かい。

夜景が綺麗だな。
ずっと向こうの明かりまで見える。

上を見ろよ。頭上を見ろ。
ほら、輝いていらっしゃる。

屋上にヨガマットを敷いて寝そべるんだ。
見てみろよ。その目に焼き付けろよ。
なぁ、プラネタリウムなんか比じゃねぇな?

目を閉じて風の音を聞いた。
目を開けばこの世で一番綺麗な景色が見えた。

幾つもの星々が、きらきらと、きらきらと、眩しい。
こんなにも広い星空を一切の障害物なしに、
見られてしまって良いのだろうか?
贅沢がすぎるぞ天文部。


「夏の大三角の真ん中にいるはずなんだよ」
そう言って君と、こぎつね座を探した。

あの一夜を忘れることはない。

7/4/2022, 12:02:33 AM

『この道の先に』

この道の先には終わりが待っているのだと、
最近になってやっと気がつくことができた。

私が楽しもうが苦しもうが、泣こうが笑おうが、
いつか必ず終わりの日が来る。
誰にだって等しく、待っているのは死だ。

死にたいと思っていても、生きたいと思っていても、
結局最後はみんな死ぬんだ。
それが何よりも嬉しくて、何よりも安心した。
こんな私でもいつかはちゃんと終われるの。

待ち遠しいね。
今か今かとその日を待つの。
その日が来るまで私は生きるの。

7/2/2022, 6:42:24 AM

『窓越しに見えるのは』

冬の夜に空を見よう。
灯を消して、カーテンの隙間から外を覗くの。
だんだんと目が慣れてくる……ほら、星が見えた。

分かりやすいでしょう?
オリオン座、おおいぬ座、こいぬ座。
容易く結べる三角形。

星々の輝きがあまりにも綺麗で、私の目は冴えていく。
もっと見たい。もっと近くで星を見たい。
そんな思いから目を凝らす。

窓枠に手をついて、首が痛くなるくらい上を見て、
ただその輝きに目を奪われ、星へ星へと近づくの。


けれど、私と星の間には窓がある。
星へ近づこうとしても実際に近づくのは窓だ。

やがて、
私は窓に唇をぶつける。
私は窓にキスをする。
私は窓越しの星にキスをするの。


窓越しに見えるのは愛しい光。
何光年先で輝く神々しい光。

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