冬山210

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『窓越しに見えるのは』

冬の夜に空を見よう。
灯を消して、カーテンの隙間から外を覗くの。
だんだんと目が慣れてくる……ほら、星が見えた。

分かりやすいでしょう?
オリオン座、おおいぬ座、こいぬ座。
容易く結べる三角形。

星々の輝きがあまりにも綺麗で、私の目は冴えていく。
もっと見たい。もっと近くで星を見たい。
そんな思いから目を凝らす。

窓枠に手をついて、首が痛くなるくらい上を見て、
ただその輝きに目を奪われ、星へ星へと近づくの。


けれど、私と星の間には窓がある。
星へ近づこうとしても実際に近づくのは窓だ。

やがて、
私は窓に唇をぶつける。
私は窓にキスをする。
私は窓越しの星にキスをするの。


窓越しに見えるのは愛しい光。
何光年先で輝く神々しい光。

7/2/2022, 6:42:24 AM