放課後
夕暮れ時、少し肌寒くなってきて紺色のカーディガンを羽織る
暖かく感じる
影はとても伸びて、私の先を歩いている
そんな影と会話をしながら2人で帰る。
今日コンビニ寄ろうかな〜
『何買うの?』
肉まん
『良いねぇ〜』
2人してニヤッとする
コンビニでホカホカの肉まんを買って、それを頬張りながら帰り道を歩く。
あっつ!
呟きながら少しづつ、冷めないうちに。
いつの間にか影は無くなって、ひとりぼっちになる
星が出てきて、月も顔を出す。
あ〜寒
友達のいない私は、そんな妄想をしながら1人で家に帰る
でも寒くなってきて、肉まんを頬張りながら帰れるのは良いよねーと無茶苦茶な事を考えながら自分を慰める。
明日は、おでんにしようと心の中で決め、ワクワクしながら布団に入る。
これで日常は終わり、卒業までの帰り道に制服少しづつ、卒業式が近ずいてくる
もう秋も終わりかもしれない
束の間の休息
授業が終わって、お腹がなる
あ〜お腹減った。
伸びをしながら小さくつぶやく。
私にはあまり友達と呼べる人が居ない。
だからいつもぼっち飯。
お弁当の入っている袋を開ける。
蓋を開けると、ふわっとお弁当特有の香りが漂う。
いい香りだ
母が作ってくれたお弁当
今日はハートの卵焼きが入っている
テンションが少し上がる
真っ白なご飯を1口ずつ口に運ぶ
美味しい、
あ、小さなグラタンが入ってる
久しぶりに見た冷凍の小さなグラタン。
確か占いが下に書いてあったんだったけな、
そう考えながらペロッと完食する。
恋愛、このままの関係を続けよ....?
好きな人なんて出来た事ないからなぁ、
そう呟いて失笑する。
タコの形をしたウインナー
私もう高校生なのに、
それでも嬉しかった
ご飯と一緒に頬張る
少し焦げていて美味しい。
お茶を少し飲む。
結構食べたなぁ。今日はご飯の量が多かった。
デザートはりんご。
うさぎの形をしている
あ、可愛い
シャリシャリと音を立てて食べる
美味しい
お茶を飲んで、ほっとする
ご馳走様でした。
賑やかな教室。
校庭では、サッカーをやっている生徒が何人かいる
窓際の席から眺める。
まぶしい、チカチカしてうざったい
寝よ。
キーンコーンカーンコーン
チャイムの音が響く
授業が始まる時間
嫌だなぁ
1人のほっと出来る時間は終わり。
明日のお弁当が楽しみだ。
―束の間の休息―
私にはとても大切な人がいる。
その人はとても明るくて、少し子供っぽかった
出会ったのはとても寒い冬の日。
アパートで。
あぁ寒っ!!
確かあの日はアラームが鳴る前に寒くて起きた
珍しい事だったからよく覚えている
その後ごみ捨てに行ったはずだ
そこで出会ったんだっけな
初めて会った時あの人はごみ捨て場で寝ていた。
こんな寒い日にごみ捨て場で寝るなんて、凍死してしまう。
焦った
見ず知らずの人だし危険だ。
病院に連れてく?引きずるにも限界はある。
じゃあ他の人を呼ぶ?
ダメだ、こんな早朝に起きてる人は居ない。
仕方がない、家に入れよう。
迷って迷って決めた。
人助けなんて面倒な事、したくなかったのに。
急いで暖房やストーブを付ける。
部屋が急に暖かくなる。
少し頭痛がする。
考えたら、救急車でも呼べば良かったのかな。 と考える。
まぁもう入れちゃったし。
いつもみたいに考えるのをやめる
あの人は一向に起きない。
警察でも呼ぼうかと思った矢先、声がした。
『あっつ』
驚いた。
振り向くと真っ黒な瞳がこちらを見ている
惹かれはしない
普通の見た目、普通の声。
特徴が掴めない
いや、唯一掴める所を見つけた。
焦っていて気づかなかったが、ピアスをしている。
1つや2つじゃない
何個も付けていてキラキラと光に反射してより目立っている。
口を開けて見つめていると、あの人は言った。
『誰』
少しキツイ印象だ。
とにかく早く出て行ってもらおう。
ここの部屋の住民です。
凍死しそうだったので部屋に連れて来ました。
それだけ言った。それで良いだろう。
これ以上は必要無い。
あの人は私に向かって言う
『そう。ありがとう、住んでも良い?』
は?
意味が分からなかった。
『ちょっとの間だけ!!お願い!!』
あの人は一向に引かない。
めんどくさいなぁと思いながら、まぁ良いか。と
また考えるのをやめた
いいですよ、少しだけですけど。
あの人は満面の笑みで話す。
『ありがとう!!お風呂借りるね!!』
凄い神経だ。
1週間たった日、あの人は居なくなった。
訳では無く、まだ居る。
慣れてきてもう一緒に買い物も行く。
今日も買い物に来ていた。
『ねぇお菓子買っていい?』
子供見たいな事を言う
3つだけなら。
いつもみたいに返事をする
『よし、帰ろ!!』
買い物が終わると、袋を毎回持たないで走り出すあの人は珍しく袋を持ってくれた。
走り出すのは変わらないけど。
信号の無い横断歩道。
氷が厚く貼っている。
滑りやすい。
車が走ってくる
あ、間に合わない
轢かれる。
まずい
少しして鈍い音がその場に響く。
買ったお菓子が袋から飛び出る
あれ?4つもある
3つって言ったのに
時がゆっくり流れているみたいに思えた
本当は一瞬だったのに
あの日から明るいあの人は話さなくなった。
ずっと真っ白なベットで寝ている。
打ち所が悪かったそうだ
毎度思い出す記憶。
鮮明に覚えている。
明るくて少し子供っぽいあの人
愛おしいと思えた
ただそれだけだったけど、私には大切に想える。
1週間。短い期間のはずなのに
もう6ヶ月もたった
半年だ。
私はもうずっと記憶に縋っている。
人助けなんか面倒な事しなきゃ良かったのに。
私は今日もあの人に会いに行きます。
耳元でキラキラと光るピアスを付けて。
―過ぎた日を想う―
踊りませんか?
私は友人が開いたパーティーに来ていた。
正直何をするのか分かっていない。
とりあえず通販サイトでポチッたドレスは間に合って無事着れた。
ドレス何て久しぶりかな?
本当に小さな星が散りばめられている紺のドレス。
動くと少しキラキラと輝いて、とても可愛い。
友人が開いているので、ほとんどの人を知らない。
何故今時ドレスパーティー?と思ったが噂によると、友人はパーティーをやりたいが為にお金を貯めてたらしい。
そういう所は真面目だと思う。
暇だ。知らない人ばかり。
私は口下手であまり話せないし。帰ろうかな。
何てそんな事を考えながら、小さなチョコレートケーキを頬張る。
美味しい。隣のいちごケーキも、
と思った矢先、綺麗な女の人に話し掛けられた。
女の人は髪飾りを付けていた。
何故ドレスでは無く髪飾りに注目したかと言うと、大分前に発売されているはずのグッズの1部だったからだ。
あまりオタクには見えないので驚いた。
実は私もそのグッズを付けていたのだ。
あ、髪飾りじゃないけど。笑
グッズって分かりずらいから普段から付けていた。
普段は別にグッズを見たりしても思わないのに、不思議と話してみたいと思った。
嫌な感じはしないし。
女の人は切れ長な綺麗な目を私に向けてほんのり赤い唇を動かして話す。
「踊りませんか?」
えっ?と声が出た。
踊り方何て知らないし、踊っていいものなのかな!?
まぁ考えても分かんないし、聞いちゃお
ここって踊って良いんでしょうか....?
女の人はクスッと笑って答えてくれた。
「ここじゃない所で、是非」
ここじゃない所..?何処なのかな?
少なくとも友人の知り合いだし、大丈夫か..と考えて返事をした。
はい。是非
連れてかれたのは広いテラス。
「ここで踊りましょう?」
綺麗な夜景。
何故私に声を掛けたのかな。
そう思ったが、聞かない事にした。
あ、そうだ。私踊れないんですけど大丈夫ですか?
彼女は笑って答えた。
「実は私も何です。」
彼女は笑っている。とても綺麗だ。
不思議とイラつかなかった。何故なのか。
分からないけどそれでいい。それがいい。
彼女は髪を下ろしてこちらに近づく。
彼女の綺麗で長い黒髪が風になびく。
とても綺麗だ。
うるさい耳鳴り
彼女の顔が近い
耳元で囁く
『『『『また今度ここで踊りませんか?』』』』
重ねて聞こえる彼女の声、
まだ、まだもっと話していたい。
行かないで。
不気味なほど綺麗な彼女。
また逢えたら、
巡り会えたら
あぁ私の愛しい子
早く会いたい、会いたくてたまらないの
もう8ヶ月。
大変だったけど、それでも愛しい子我が子だから頑張れたの
お腹を蹴ると、あぁ生きてるんだなと実感が湧く
お母さんは私には居なかったからこの子の気持ちは私には分からないかもだけど、長く長く一緒に居たい。そう思ってるわ。
あ、そうだわ。この子妹になるの
素敵でしょ?
姉妹ってどんな感じになるのかしら?
この子達が少し育ったらおしゃれさんになるのかな
それともスポーツ?突然やりたくなったりしてね?
あぁ楽しみ。
不安も沢山あるけれど、それでもとても楽しみなの。
どんな子に育つのかしら。
おかあさんねぇおかあさん
わたしのおかあさんは、いつもひとりごとをいってるの。ちいさなおなかをさすりながら。
わたしにいもうとができるんだって。
でもわたしびょういんできいたの。
あかちゃん、しんじゃったって
貴方の妹はは夏咲ちゃんっていうのよって
えがおでいうの。
もうやちんもはらってないから、おおやさんはおこってる。
おかあさんねぇおかあさん
なんかいよんでもへんじがないの。
おかあさんのあしがういてる
とんでるんだわ!!たのしそう。
いいな!
いいな!
おかあさんわらってるみたい。
もうせみもなかないの。
おなかがへったよおかあさん。
おかあさんおかあさん
えがおがかわいかったおかあさん。
いまはかわいくないの。
あれから何年も経ちました。
私は15歳。
高校生になります。
私は叔父に引き取られ、安定した毎日を過ごしています。
あの時、何をしたら良かったんでしょうか。
まだ3歳の私には分かりませんでした。
でもたまに思うのは、あの時私の妹が、夏咲が産まれてきれいれば。と考えてしまいます。
夏咲はこんな私の事を許してくれるでしょうか。
―巡り会えたら―
裏話:個人的には逢えたらのが良かったなぁと思っています笑
内容については、全くの素人ですのでご了承くださいませ。
※叔母の実話を元にしてます。