過眠症の中で生きる

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踊りませんか?
私は友人が開いたパーティーに来ていた。
正直何をするのか分かっていない。
とりあえず通販サイトでポチッたドレスは間に合って無事着れた。
ドレス何て久しぶりかな?
本当に小さな星が散りばめられている紺のドレス。
動くと少しキラキラと輝いて、とても可愛い。

友人が開いているので、ほとんどの人を知らない。
何故今時ドレスパーティー?と思ったが噂によると、友人はパーティーをやりたいが為にお金を貯めてたらしい。
そういう所は真面目だと思う。

暇だ。知らない人ばかり。
私は口下手であまり話せないし。帰ろうかな。
何てそんな事を考えながら、小さなチョコレートケーキを頬張る。
美味しい。隣のいちごケーキも、
と思った矢先、綺麗な女の人に話し掛けられた。

女の人は髪飾りを付けていた。
何故ドレスでは無く髪飾りに注目したかと言うと、大分前に発売されているはずのグッズの1部だったからだ。
あまりオタクには見えないので驚いた。

実は私もそのグッズを付けていたのだ。
あ、髪飾りじゃないけど。笑
グッズって分かりずらいから普段から付けていた。
普段は別にグッズを見たりしても思わないのに、不思議と話してみたいと思った。

嫌な感じはしないし。

女の人は切れ長な綺麗な目を私に向けてほんのり赤い唇を動かして話す。
「踊りませんか?」

えっ?と声が出た。
踊り方何て知らないし、踊っていいものなのかな!?
まぁ考えても分かんないし、聞いちゃお
ここって踊って良いんでしょうか....?

女の人はクスッと笑って答えてくれた。
「ここじゃない所で、是非」

ここじゃない所..?何処なのかな?
少なくとも友人の知り合いだし、大丈夫か..と考えて返事をした。
はい。是非

連れてかれたのは広いテラス。
「ここで踊りましょう?」
綺麗な夜景。
何故私に声を掛けたのかな。
そう思ったが、聞かない事にした。

あ、そうだ。私踊れないんですけど大丈夫ですか?
彼女は笑って答えた。
「実は私も何です。」

彼女は笑っている。とても綺麗だ。
不思議とイラつかなかった。何故なのか。
分からないけどそれでいい。それがいい。
彼女は髪を下ろしてこちらに近づく。
彼女の綺麗で長い黒髪が風になびく。
とても綺麗だ。
うるさい耳鳴り
彼女の顔が近い
耳元で囁く
『『『『また今度ここで踊りませんか?』』』』
重ねて聞こえる彼女の声、
まだ、まだもっと話していたい。
行かないで。

不気味なほど綺麗な彼女。
また逢えたら、

10/4/2023, 10:18:51 AM