クスノキ

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3/6/2025, 3:37:25 PM

涙が飛んでって


その滴は土に落ちた


最後の一滴を必要としていた彼は芽を出した


頬はすっきりとし 気持ちいい風がなでる

秋の爽やかな風だ



悲しくて寂しくて出た涙も命を育んでいたことを彼女は知らない


これは広い空の下の秘密の物語。

2/23/2025, 8:45:58 AM

日常の中で小さな幸せを見つけて、幸せ集めをしている。


写真に撮ってそれがフォルダいっぱいになったら幸せばかりでにまにましてしまう。


この前見つけた、地面に小さな虹があって 
その下にコンクリートに隠れたハートの石

ぶれないように、全身集中して大切に撮った写真が最近のお気に入り。


でも本当はきみと見たあの日の虹が一番のお気に入りなんだ。


きみと散歩していたら大きな虹がかかっていて、
本当に綺麗で、あの色合いを写したいのに

目に映る色とカメラに映る色はちがくて
悔しかったけど 




本を開くと、パラパラパラパラってページが捲れて色んな思い出が次々と思い出されるように

あの写真は特別なものなの。



元気でいますか?


今でも、大切な、わたしに色々な宝物をくれたきみへ。

1/24/2025, 6:21:14 PM

優しい嘘


あなたが見せた、優しい嘘は あの嘘は泣けるくらい優しくて 

あの日会えるって言ったこと、
それはうそじゃなくて本当だったんだ。


5年前の私は知らなかったけど、
今日の私はそれが本当だって知ってて。


まさかまたあなたに会えるなんて。


こんな奇跡一生忘れないよ。


あの日、あなたに出会ったこと、
そこからわたしの幸せは始まっていて、

毎日が急に鮮やかになって

写真をきっかけに楽しかった出来事を思い出す。

あれはわたしの宝物で、

心のなかにそっとしまっておくよ。


またいつか、思い出せるように

そっとカギをかけて。

12/27/2024, 7:26:27 PM

手袋



手袋はいらない


あのひとのコートのポケットの中で

手をつなげるように


わざと忘れるの



あのひとの暖かい手をいつも感じられるように



そう思うとこの寒い冬も捨てたんもんじゃないな

10/24/2024, 1:53:50 PM

夏樹は宝物探しが得意だ。

今日も散歩に出かける。宝物を探しに。


キラキラと光る太陽、綺麗な青色の空、美味しそうな綿菓子みたいな雲、そして心くすぐる甘い金木犀の匂い。



そこら中に宝物が溢れていて、今日もワクワクして出かける。



あっ、可愛いピンクのコスモスみたいなお花。
「今日もかわいいね」と声をかける。



お気に入りの本を持って、温かい砂糖入りの紅茶を鞄につめて、ツバの広めの帽子も持ってきた。


準備は万端だ。



ハミングをしながら背の高い木々がたくさんある公園にやってきた。



日陰になってるベンチを見つけて座る。


顔に心地良い甘い風が当たる。



目を閉じて深呼吸して…



目を開けると葉のひとつひとつに太陽の光が反射してキラキラして見えた。



今日もいい日だ。平和だなぁ…




鞄から本を取り出し、水筒を置き 栞が挟んでるページを開いて読み始める。


本の世界にあっという間にのめり込んでいた。






読んでいたページに葉が落ちてきて、ふっと前を見ると向かい側のベンチに男性が座っている。


眠っているようだ。本を開きながら…


心地いい天気だもんなぁ…


ふふと微笑み、甘い紅茶を一口飲み、またページを開き始めた。



何時間経っただろう、風が少し冷たくなってきて


そろそろ帰ろうかなと思ったちょうどそのとき、向かい側のベンチに小さいタオルが落ちていた。





あ…、きっとあの人のだ。


どうしようかな…  下に落ちたら汚れちゃうなぁ
またここで会えたとき渡せるかな

そう思い、鞄にしまった。






















またお休みの日が来た。


今日もあそこに行ってみよう。


夏樹はお気に入りの公園に出かけた。











今日は……  いないみたいだな…











ちょっと残念に思い、読みかけのページを開く。

楽しい世界が始まる。



















ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ



大きな音が全身に響いた。


どうやらお腹の音らしい。



おなかすいたな…


と目をあげると、この前の男性がいた。





あっ!!!!!



「あの!」と思わず声を掛ける。






少し離れた向かい側のベンチで「?」の顔をしている男性。








小走りで男性のところにいく。


「あの、これ! あなたのですか?」



 鞄からタオルを取り出す。





『!!!!!』

『……ぼくの!』



「よかった。大切なものなんじゃないかなって思って… 会えてよかったです」



『ありがとうございます。どこかに落としちゃったのかと思って悲しかったんです。あってよかった。』



「渡せてよかったです。」





『「 あ、雨 』」


『避難しましょう』



2人はいそいで屋根のあるところに走った。






『大丈夫ですか?』

「はい」



肩で息をしながら夏樹はこたえた。







『これ…よかったら使ってください。』

さっきのあのタオルを渡された。






「そんなそんな、せっかく渡せたのに」

『いいんです、せっかくだから使ってください』



「じゃあまた洗濯してお返ししますね」



それから2人は好きな本の話、食べ物の話、歌の話、たくさん話した。



驚くことに好きなものが次から次へと出てきて、
気づくと日が落ち始めていた。



そろそろ、かえりましょうか、



と彼があるき出そうとしたとき…


「あっ、いかないで」

夏樹が止めた。






「あなたの名前…  まだ聞いてない
教えてもらってもいい?」


『僕は大樹。大きい樹でだいき。きみは?』


「すごい。わたしも樹なの!

 わたしは夏の樹で夏樹!」



『わぁすごい。こんなことってあるんだね』




2人はくすくす笑いながら夕焼けに照らされた街路樹を歩き出した。





それからそこは2人の大切な場所となり、今は隣で本を読むデートが毎週の楽しみになっている。

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