キミの言うことはいつだって正しい。昔は直感、今は確信。
だからこそ俺はその言葉に従うのだ。
ただそれだけなのに、お前はそのやけに考えすぎる頭を
フル回転させてひねくれたことを言う。
「俺が言ったら、なんでもするんかお前は」
「するよ。あんたの正解は俺にとっても正解やから」
「死体埋めてこいって言ってもか」
「あんたが言うならするよ。……まさか、ヨコあんた…」
「してへんわ!あくまでたとえじゃ!」
「なんやねん。……それで、どうしたんしょうもない確認して。なんかしてほしいことあるんか?」
「あるか!……お前なんやねん、なんでそんな言うこと聞くねん!」
胸ぐらを掴まれる。今更の内容だ。
あんたの言うことに間違いがあったことがない。
だからこそ俺は信頼して身を任せているというのに。
それを肝心の本人が分かっていない。
言葉にせなあかんのかな。でも言うたところでめっちゃ照れた挙句忘れるで?頭切れるけど忘れっぽいんよなこの子。
「逆になんであんたそんなこと聞くん?今更やんか、そんなん。言うこと聞く子好きやろ?それとも好み変わりました?反抗的なんが好きなんやったらやらせていただきますけど」
「だから!なんでお前そんな従順なん?俺がそういうん好きやからやってんの?」
そんな悲愴の面持ちをしないでほしい。
いやホンマにそんな大した理由じゃない。
なにかこの男は大きな勘違いをしている気がする。
「ヒナの意志はどこにあんの……」
俺のシャツの肩口をグシャリと握って俯く。
ああ、そういうことな。なるほど、俺の事をマリオネット人形と疑った訳か。見当違いも甚だしい。
腹が立ったので頭に手刀を下ろす。かるーくトンっと、
「痛ったぁ!お前何すんねん!」
「うるさ、耳元で騒がんとって」
「お前人んこと叩いていけしゃあしゃあと……」
「あほ」
「なんやねんお前さっきから!」
「あほやろ、勝手に人をお人形さんにするなや。
全部自分の意志やわ。俺が決めてん」
「……お前がが『ルール』みたいやって」
「言われたんか」
「いつもやったらヒナを傍に置いてる僻みやって片付けられるんやけど、なんか妙に刺さってもうて……」
それで考えすぎてしまったと。
いつもやったら『俺のもん』自慢してるところを。
「あほやなぁ、なんも知らん奴のこと真に受けんでもええのに」
「ホンマやなぁ……」
「俺が好きでやっとんねん。あんたと心中やったら笑って死んだるわ」
「俺が笑われへんわそれは。一緒に生きて」
「たとえやんかぁ」
あ、今のぷろぽおずっぽいなぁと呟くと顔が真っ赤になる。
マリオネットにこんなに振り回されるルールなんてないわな笑
『ルール』レスな関係
(すべては俺の心のままに)
作者の自我コーナー
いつもの。従順なことに不安になる彼と従順なつもりは全くない彼の話。どうして名前を呼ぶ時『俺の』感があるんでしょうね。
ちっちゃい頃からあの子はずっと自他ともに認める彼の物。
付き合ってないけど越えれる一線は全部越えてる相棒。
気象病というものを知っているだろうか。
天気の悪くなる前後、特に梅雨時期や台風シーズンに自律神経のバランスが乱れ、頭痛や目眩、神経痛、吐き気etc.の自律神経失調症症状が起きることを指す。
『古傷が疼くからもうすぐ雨が降る』というのも気象病が引き起こす天気痛から来るものだろう。
そして、体調が悪いと精神面も荒れてくる。
ベッドの中で雨の音聞いてるとなんか死にたくなって来ない?俺だけ?吐き気とかして食欲なかったりしたらそのまま飲まず食わずで死んじまいたいなとかって思わない?
そういう時は心の視野だけじゃなくて、物理的な視野も狭くなってるから深呼吸してどこにもピント合わせずに視野を広げることを意識してぼーっとすればいい。
アドバイスなんてもんじゃない。俺の処世術だ。
不安を吐き出すのもいいかもな。言語化することによって、冷静に自己を観る、『観想』って奴だ。
自律神経ってやつは精神にも肉体にも影響を及ぼしてくる。
まぁ1番は規則正しい生活をすることなんだけどなw
朝に起きて、夜に寝られる生活を送れる奴だけじゃないから。
『今日の心模様』=空模様なんてやってらんねーし、
せめて、悪いのは体調だけに留めようぜ?一緒に。
作者の自我コーナー
自律神経乱れっぱなしです。偏頭痛持ち+緊張型頭痛持ちなので常にこれはどっちなのかを考えるし、胃も荒れやすいからカフェインも辛いものも脂っこいものも食べられません。
カフェインレスだからつって麦茶飲んでたら大麦アレルギーになりました。世の中クソです。
この世界に推しが生きているから嫌いにはなれないんですけど、愛及屋烏。
睡眠が大事なのは分かるんですけど、乱れてるから眠れないんですよね。ブロチゾラム好き好き大好き。
この選択がたとえ最適解じゃなかったとしても、
俺たちが選んだ道なら誰も後悔しないだろう。
上等だ、前のめりにコケてやる。
何度でも立ち上がって、足掻いて、
それも俺ららしいなって笑いに変えてやる。
それがあの人が強いと言ってくれた俺たちだから。
たとえが時間がかかっても、俺たちの正解を創り出してみせるから。
どうか見守っていてくれと、恩師の墓標に手を合わせた。
作者の自我コーナー
彼らなら正解にしてくれるという信頼があります。
「涙って血液から出来とるんやって。っちゅーことは吸血鬼も血の代わりに涙でもええんちゃうん?」
そんな突飛な僕の疑問に幼馴染は即答した。
「アカン、コスパが悪い」
「コスパ……?」
思ったのと違う回答だ。てっきりヘモグロビンの違いについて言われると思っていた。
にしても、コスパって……まるで消費者みたいだ。
「血は傷つけたらすぐ出るやん、ここ切ったらようけ出るみたいな場所もある。けど、涙ってないやん。人によってツボ違うし、号泣しても量たかが知れてるし。タイパも悪いな」
「タイパ……、でも涙って感情によって味ちゃういうし、時間をかけた方が美味しいのかもしれへんで?」
「まぁ、そりゃ欠伸とかで出る生理的な涙より感情による涙の方が美味いけど」
「さっきから当事者みたいな発言やな?」
僕の指摘に彼が鋭い犬歯を覗かせて薄く笑った。まるで牙のような。あれ、牙?
「あれ?知らんかった?てっきり分かってるからそんな話するんやと思ってたわ」
「へ……?」
「お前ドジやからすぐ指とか切りよるし、なんもないとこでコケるからなぁ……困らんかったわ」
「なっ、なんで……近寄って、…ひッ!」
ジワジワとにじり寄ってくる彼が怖く感じて、後ろに下がると壁にぶつかった。もう逃げ場がない。
「怖がりやし、あぁほらもう潤んでもうてるやん。目ェ擦ったらあかんよ、勿体ない」
じわりと滲んだ雫を拭おうとしたら手首を掴まれた。痛い。
本当に目の前の彼は僕の幼馴染なんだろうか。
「もうつまみ食いみたいなことせんでええんよな?……怖がらんとってや、美味しく頂くだけやから」
そういって彼は僕の眦にキッスをした。
『雫』
作者の自我コーナー
いつものパロ。R12くらいです。
とあるボカロ曲から思いついた話。
吸血鬼をできるだけ現実的に書きたかった。
ただ隣に居たかっただけ。
子供の時分は彼の後ろについて行くのに精一杯の
なんの取り柄もないただのガキだった。
強いて言うなら人見知りしなかったことだけだ。
まぁそれが当時ただのヤンキーにしか見えなかった
金髪の少年に気に入られた理由なのだろうが。
背中を追いかけていた。時々彼が振り返って、切れ長の双眸をふっと弛めておれがちゃんと着いてこれているかを確認してくれる。それが嬉しかった。それだけで十分だったのに。
俺は頑張ってしまったのだ、それを励みに。
彼に追いつこうとしてしまったのだ。
彼の横に行きたいと、願ってしまった。
いつからか、彼はこちらを確認しなくなってしまった。
見なくても着いてこれると思われているから、だと信じたい。
隣に並べるようになった。でも何故だろうか、あの頃の距離の方が近かったと思ってしまうのは。
他者から賞賛を得る度に、あの頃が遠ざかっていく。
望んでお前と対等になったはずなのに。
きみに守られるだけの存在だったあの頃のなんの取り柄もないガキが心底妬ましい。きみに振り向いてもらえるおれが。
(『何もいらない』とすら、もう言えない)
作者の自我コーナー
いつもの。ないものねだりしてしまう全て持ってる彼の話。
でも本当に『ないもの』なんです。だってあの人の中では彼はいつも対等な存在だから。今更後ろに下がろうとしたら許さないですし、引っ張って同じラインに立たせますし、おすし。