えーと。数日書きそびれてしまいました。
子育てしてると──というより、主婦してると──“自分ごとではないこと”が意外と多くて、
例えばそう……家庭訪問!とかPTA!とか。
我が家の場合は、家族に基礎疾患持ちが居たり、受験生がいたり、何かとこう、どこかにシワ寄せ来ちゃうんですよね。
でもねえ、「じゃあ、この家族と暮らしていない自分なら?」て考えると、『なんか違う!』と。
ここではない、どこか……私にとっては、あまり意味のない問い掛けだなあ、って思いました。
いえ、それだけです。
コレはただの日記なので、明日はまた、創作文をお見せできるかと思います。
明日夜、もしお暇でしたら、読んでいただけると嬉しいです。
ではまた、ここでお会いしましょう!
#ここではない、どこかで
よく笑う赤ちゃんだった
いつもニコニコ、穏やかで
「泣くことなんてあるの?」と言われるくらい
ご機嫌な赤ちゃん
歩き始めるとすぐ
お兄ちゃんのあとを追いかけ回すようになり
「母ちゃん、ちび捕まえといて!
俺、落ち着いて宿題も出来ないよー」と
息子に泣き言を言わせた娘
幼稚園では
誰よりも陽気に朗らかに
朝の活動からお帰りまで
元気いっぱい、遊ぶ子だった
誰よりも、
とびきりの笑顔を見せる子だった
誰よりも、
楽しそうに歌う子だった
そうやって
元気と笑顔と愛嬌を振りまいて
いつも話題の真ん中にいる子だったのに
どうしてこの子だったのだろう
どうしてこの病気なのだろう
答えなどない
ただ、……
あのね
母さんは
あなたのことが
ずっとずっと、大好きだよ
#誰よりも、ずっと
「あれ、久しぶりじゃん」
後ろから、急に声をかけられた。
想定していない方向からの声だったので、思わず、肩がビクッと震えた。
「あ、わりわり。ま、入って」
声の主は、顧問の永野(ながの)先生。
デカイ体ときれいな声の持ち主──ただし、専門の音楽以外は、からっきし……のタイプ。
どうぞ、と手で示されて、慌てて音楽準備室に入った。
「さて、お久しぶり。かっちゃん、いつ退院したの」
「半月前に……お母さんから、学校には連絡してもらったんですけど、先生のとこまで連絡まわんなかったんですね」
すみません、と頭を下げると、永野先生は、いやいや、と手を振る。
「で、前に、お母さん通じて伝えてもらってるはずなんだけど、キミの練習の件」
真面目な顔で、永野先生は続けた。
「練習…戻ってこれそ?ユーフォ隊、マージーで人足らんのだけど、吹ける?」
そうなのだ。
うちの吹部、人数が足りない。
夏に3年の先輩が引退したとたん、部員半減・戦力大幅ダウン。音はスカスカ技術はへっぽこ……「まずいぞー、来年のコンクール大丈夫?」って言われるタイプのブラスバンドだ。
先生は、「ステージを休まずに務められる」なら今まで通りユーフォ隊に置いてくれる、と言うのだけど、だけども、……今の私は病み上がりの難病患者。
しかもどうやら別の病気も発症してるらしいという面倒な人なので、確約が出来ない。
しばらく、無言になってしまった。
私は、ユーフォニアムが好きだ。ずっと、このパートで行くと思ってた。だけど……
「かっちゃん、どうやろ?ここは無理せず、パート移籍してリスタート……でやってみない?」
大学病院では、主治医の愛ちゃんにも
「美術部に移籍するってのは?絵、描くの好きでしょ?」て言われた。
でも、違うんだ。
絵を描くときの「楽しい」は“一人で自分の世界を遊ぶ楽しさ”、吹奏楽の「楽しい」は“みんなで心一つにハーモニーを作る楽しさ”だから、「楽しい」のニュアンスもベクトルも、全然違うんだ。
だから、「この部に在籍して前に進む」ことが、私にとって、一番大事だ。
大事なことを、譲れないことを見誤ってはいけない。優先すべきこと と妥協できること をきちんと見分けなければ。
……覚悟はきまった。あとは、行動あるのみ。
私は、音楽を諦めない。このまま、潰れたりなんかしない。
拳をきゅっと握って、先生に向き直る。
言葉が自然と飛び出してきた。
「はい、人数に余裕のあるパートに移籍させてください。経験足りないぶんは、練習頑張ります。だから、再スタートさせてください、お願いします!」
私は、吹奏楽が好きだ。
だから、ここでやっていく。
ここから、ずっと。
これからも、ずっと。
#これからも、ずっと
明日のキミへ
やあ
調子はどうだい?
ご飯は美味しいだろうか?
天気は?
体調は?
ボクは今、身動きの取れない状況だ
笑えないよ
まったくもって、笑えないよ
だけど
何故だろう?
不思議と、絶望感は無いんだ
落ちるところまで落ちたからなのか
それとも
ボクが楽天的にすぎるのか…
今、こんな状態だから
きっと、夢を見るのだろうね
大丈夫だと
明日はマシだと
そう思いたいのだろう
あの 沈む夕日に
苛立ちと不安を溶かしてもらって
今日も眠ろう
眠れるうちは大丈夫
明日はきっと良い日だと思えるうちは……
#沈む夕日
#君の目を見つめると
やだ、そんなに見つめないで
…キミはそう言って恥じらい
ボクは ごめん と謝る
キミの目は とても澄んでいて
生命力に溢れ 輝いている
ボクの目は キミの目に
どう写っているのだろう
お隣同士で育ち
いつも一緒のボクたち
キミのこと 本当によく知っているはずなのに
何故だろう?
いつからか
ボクは キミの目をまっすぐ見るのが
難しくなった
だからこうして
何かの折にまじまじ見つめてしまっては
キミに窘められている
ああ そうか
今ボクは キミに恋しているのか