「やっべ!遅刻だ!」
朝起きて時計を見ると8時を過ぎていた
土日のあとの平日はいつもに増してだるい
しかも春の心地よい温かさとは非常に罪深いもので
完全に春眠暁を覚えず状態だった
まあ遅刻したからには遅くてもいいでしょ
とありもしない余裕をぶっかましている
いつも通っているはずの通学路が無償に寂しく
心地よい
ちょうどいい風に吹かれ
桜を待つ木を過ぎていく
学校につくと無数の花が綺麗に咲き誇っていた
もー卒業か
ここで始まった物語はここで終わる
「あれ、遅刻ギリギリじゃん笑」
「笑うなカス」
春、始まりの季節でもあり別れの季節でもある
また俺ら何処かで会えたらいいな
俺らの旅立ちは花の香りと共にやってくる
透明ほど醜い色は無い
透明は容器そのものを写す
その姿は「僕は君の味方だよ」なんて言ってそうで
透明は何色にもなれる
そう言った矢先に違う色にもなれる
でも1度入れた色を戻すことは出来ない
もう透明には戻れない
どんどん黒く染まってく
あれ、まるで人間みたいだ
冬休みは嫌いと私が言うと
なんで?と聞いてくる
そんな君に
冬休みになると課題がでるし
冬休みになると暇だし〜
と変な言い分で誤魔化す
本当は君に会えないのが寂しいだけなのに
ある梅雨の日の朝
いつもは傘を差しているはずの君が
びしょ濡れになりながら立っていた
顔には雨なのか涙なのか分からないものが
零れていた
どうしたの?なんて聞けるはずなくて
君の1番が俺だったら本当に良かったのに
なんて思って考えて
なんにも行動できずにいる
「ねえ、」
少し前にできた彼女はどこに行ったの?
なんで君は泣いているの?
俺じゃダメなの?
なんて言えなくて
「びしょ濡れだよ」
なんて誰でも言えることしか言えなくて
幼馴染だなんて特権で君に近づいて離れて
もう全て嫌になって
自分の性別を恨んで
また元通り
君の隣が俺なら
ずっと笑っていられるよ
この結末は"神様だけが知っている"
「好きな本は何?」
突然話題にでたこと
漫画も小説もあまり好きでは無いけれど
唯一好きな本があった
それは
"あなたが貸してくれた本''
私はあなたがすき
いつか当たり前にそれが言えたら
いいのかもね