雨は好き。
やさしい雨音に包まれて、いつか消えてなくなれそうで。
ぴとん、ぴとんってリズム刻んで
私も同化していく。
どうかしてるよね?
でも、そんな雨の中
誰も気づかない世界の端っこにいる私を見つけて
傘を差し出す貴方は
私の好きな雨を邪魔する
大嫌いな人。
「風邪ひくよ?」
そう笑って
私をこの世に繋ぎ止める貴方が憎くて仕方がない。
それなのに
「…ありがとう」
貴方の優しさが嬉しかったんだ!!
ほんと、どうかしてる
雨は好きなのに
貴方の太陽のような笑顔は嫌いじゃないの。
人魚の歌、それは美しく耽美である。
妖精の歌、それは酔いしれるような闇である。
人間の歌、それは全てを兼ね備えた人工的でかつ、自然的な爆発が積み重なった人類の奇跡である。
最近悪夢ばかり見る。
死んだお父さんが出てきたり、友達と絶交したり、いっぱい怒られたり。
悪夢といっても、お化けがでてきたりとか、金縛りにあったりとかはしない。些細なことだけれども、現実にあったら嫌な、趣味の悪いものばかり。
タチが悪いのは、夢から覚めるまでにその問題は解決できないのだ。
だから、眠るのが怖い。けれど、その思いと反例して眠気は毎回訪れる。そして、為す術なく悪夢を見てしまう。
いつからだったろうか、こんな生活。もう嫌だと泣き出してしまいたかった。
それでも私は、眠ることしか出来ない。今日も目を閉じた。
ふわふわとした感覚。きっと夢の中だろう。周りを見渡すと歪な空間。
目の前には、白と黒の男の人。
白い人と黒い人じゃない。白と黒の男の人なんだ。
それとしか説明が出来なくて、じっと男の人を眺めてると、ニコッと微笑む。とても胡散臭い。
「そこのお嬢さん、なにかお悩みがあるんじゃあないかい?」
私が口を開く間もなく男の人は続ける。
「そしてそれは、夢についてじゃないかい?」
驚いた。図星をつかれて思わず口を閉ざすと、男の人はまた胡散臭く笑い胸に手を置く。
「名乗り遅れました。僕は夢喰いバク。悪い夢を食べてあげるのが仕事さ。」
男の人、基夢喰いバクは未だに胡散臭い笑みを途絶えさせない。だが、私は今藁にもすがる思いだったので、大人しく頼らせてもらいたかった。
「君の悪夢は少々味が薄いけど…まぁ、薄味のほうが僕の好みさ。さあ、僕に身を委ねて──────」
段々意識が朦朧とする。そんな中ふと思いついたのは対価だった。
そんな考えも見透かしたように夢喰いバクは笑う。
「お代はいらないさ。だって、これが仕事だからね。」
その声を聞いて眠りについた。
そこからは、幸せな夢続きだった。
もう、夢から覚めたくないと思うほどに。
よくわからない存在だったけれど、夢喰いバクに感謝だ。
「僕の仕事は、夢を食べること。
夢を食べられた人間は、幸せな夢を見続ける。
そう、現実と夢の区別がつかないくらいに。
そして、もう現実に戻りたくないと夢に縋る。
僕はあくまで悪夢を主食としているが、甘美な夢も悪くない。
僕は夢喰いバク。
悪夢が主食だけれど、
そっと包み込むように…君ごと食べてしまうよ。
そんな、わるーーいバクさ。」
いつも通り、6時に起きて
いつも通り、6時半に家を出る
いつも通り、授業を受けて
いつも通り、家に帰る
だけど、鏡を見ると
髪の毛のボサボサ度が落ち着いていたり、逆に増えていたり
授業中のあくびが増えてたり、減ってたり
代わり映えしないって思ってた日常だけど
昨日と比べたらちょっぴり違う私
些細な変化でもなんか楽しいなぁ
ふふっ、そう思えたことも昨日とちょっぴり違う私になれた証拠だよね!
乗り換えられた。ただ、その一言に尽きる。
立ち尽くして、頭じゃ何も考えられなくて。
私は誘われてない。だけど、きっと隠す気もなかったんだろうね。
私が1番じゃない貴方なんて嫌いだわ。
本当、残酷な人ね。
でもきっと…私に嫌悪の視線を向けないうちは、貴方は私のモノ。
私が1番じゃなくても、可愛いあの子を優先させても…
私は貴方を手放す勇気がないから
不満や涙を押し殺す。
ねえ、どう?私、いい子でしょ?
でも、本当は憎たらしくて仕方がないの。
口を開けば、黒い燻りが溢れ出てしまいそう。
だけど、それは誰にもぶつけることはできない。
何故ならあの子は可愛い子。
だから、貴方も惹かれたのね。
私は可愛くなくて、あの子は人気者。
挑む権利すらないわ。本当、残酷ね。
憎たらしいったらありゃしない。
あの子も、貴方も、私も…