雪羊

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10/15/2022, 3:59:05 AM

二言目には「暑い」と言いたくなるような朝、換気のために職場の窓を開けて回っていたらスズメが入ってしまったと同僚が慌てていた。3人で外へ誘導しようとしたものの、スズメはこちらの意図とは真逆に飛び回る。
ふと見ると、スズメが空いた窓の際に留まった。そのまま外に飛んで行け、とわざと音を立てながら近寄っていくが、どうしたことか今度はちっとも動かない。
カーテンでそっと押してみる。動かない。
「どーしたー?」と至近距離で声をかけてみる。やっぱり動かない。
ならば、と思いきってスズメの胴体を包み込むように手で掬い上げた。
スズメに触ってしまったという感動の混じった驚きと共に(私は鳥が好きな方だ)、思いがけず温かいことに二度びっくりする。後から知ったが、スズメは体温が42度くらいあるそうだ。そして窓の外へ向けて、飛んでくれよと思いながら、そっと放る。
果たして、夏の湿気で重たい空気のなか、スズメは飛んでいった。

重さを感じさせない羽ばたきで飛ぶ鳥は、しかし色々なものを犠牲にしているらしい。軽量化のために骨は細く中は空洞になり、飛ぶために必要な筋肉以外は極力省く。足などはほとんど骨と皮と腱だけだ。文字通り骨身を削って飛んでいる。(ただしニワトリは色々と例外。)

飛べたらどんな気分だろうと時折思ってみたりはするが、飛ぶのも楽ではないようだ。それでも、高く高く飛んでいったスズメを見送った時の羨望とも憧れともつかない思いは消えるわけではない。

お題:高く高く

10/13/2022, 1:25:31 PM

私は自分が大人だと思ったことはない。
二十歳をとうに過ぎていて、経済的にも精神的にも自立した生活を送っているのだから、おそらく100人中99人は私を大人だというだろう。(1人くらいは言わないかも。)でも、やはり自信を持って大人であると言うのは躊躇われるのだ。

では、子供なのかと自問すると、即座に、子供ではあり得ないという返答がある。こんな歳にもなって子供だと言われるのは、なけなしのプライドが受け入れを拒否している。

ならば何故、私は子供ではないと思うとき、一抹の淋しさを覚えるのだろうか?すぐに思い浮かんだことがある。

『赤毛のアン』を知っている人は多い。しかし、よく知られているのは1巻だけだ。赤毛とそばかすがトレードマークの想像力の塊のような女の子は、2巻以降母になって、戦争が起こる時代を生きていく。そのどこだったかで、大人になったアンが浜辺で一人ではしゃいでいるところを近所の人にみられてしどろもどろに弁解する場面があった…と記憶している。いい大人の女性がはしたないというわけだ。

大人になるということは、子供のころの衝動的な感情を外聞やら常識やらコスパやらやら目的意識やらで制御できるようになるということなのかもしれない。それが悪いわけではない。しかし、一度はめてしまった枠は容易には外れない。外せない。
それが淋しさの正体かもしれないと、思い至った。

お題:こどものように


10/12/2022, 10:32:00 AM

学校が終わったら

小学生のときは習い事か夕御飯まで昼寝
中学生のときは部活…なんであんな運動部入っちゃったんだか。今だに文化部にしときゃよかったと思ってる
高校生のときはひたすら家で勉強…入学式から大学受験の話をされて一年生からプレッシャーが辛かった
大学生のときは(大学生て放課後て言うんだろうか…)予習やら自炊やら読書やら制作やら

小学生が一番平和だった
中学生が一番忙しかった
高校生が一番辛かった
大学生が一番したいことをしてた気がする


今の目標は人生の放課後まで走っていくこと…だろうか

いろんなことを知って、出会って、悩んで、凹んで、立ち直って、今は辛くとも放課後にたどり着いた時に走って良かったと思いたい
切なる願いである

お題:放課後

10/12/2022, 2:36:59 AM

理想のカーテンを探している。
機能性とか値段とかも気になるけれど、私にとって一番悩ましいのはいつも色と柄である。

ずっと前、青にしようと思ったけれど、青は部屋が暗くなると言われて黄色にした。あまり好きになれなくて、引っ越したときに変えてしまった。
次は赤にしてみた。悪くはない。悪くはない…のだが、赤は騒々しいのだ。調子のいいときは良いのだか、調子の悪いときの赤は無音のうるささを振り撒いているように感じた。
緑の抽象的な柄にしたこともあった。落ち着いていて、落ち着きすぎていて、なんとなく退屈。
その次は紺色。紺も青の仲間とすれば最初の希望に戻ったわけだが…うん、確かに落ち着いているというのか暗いというのか、可もなく不可もなくというところである。

紺色のにする時には色々と悩んだ。
ウィリアムモリスみたいな柄物もいいかなと思うけれど、一歩間違うと支離滅裂な空間が出来上がりそうだ。―パス。
水玉やストライプのような幾何学柄はどうだろうか?他の家具が増えたら目にうるさい気がする。―パス。
白っぽい色は汚れが目立ちそう。―パス
黄色とピンク系は好きじゃない―パス。
………
延々と自問自答した結果が紺色だったわけだが、未だもってこれだという感触があるわけではない。

カーテンの悩みは当分尽きそうにない。