雪羊

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10/23/2022, 3:24:36 AM

ここ何年も秋の衣更えの時期は嬉しい気分になる。

というのも、秋の衣更えは即ち、お気に入りのコートの出番がやってきたことを表すからだ。やや薄手で黒一色のベルトが2本ある、少々凝った造りのコートを私は秋から次の春までおよそ半年着続ける。
10年程前に見つけたそれは今でも一番気に入っていて、コートを新調する気は当分起きそうにない。当初は"お値段がかわいくない~(泣)"と分不相応な買い物のような気もしていたが、結果的にはとても良かったと言える。慧眼であった、などと自画自賛したくなる。

そしてもう一つ、この時期に衣更えするのが「香り」だ。
仕事柄、おしゃれをするにも制約があるため、私は香りでささやかなおしゃれを楽しんでいる。金木犀の香りが漂ってくる頃になると夏物から冬物へと香りを取り替える。暑い時期は柑橘系などの爽やかな香りが好ましく感じるが、気温が下がると少々甘い香りが恋しくなる。
でも慎重に。
強すぎればただの香害だ。あくまでかすかに、がポイントだ。

この香りも10年近く変えていないが、最近売っているのを見かけない。よもや廃盤になってしまったのかと焦ったが、先日売りに出ているのを見つけた。
なくならないうちに買っておかねば。

お題:衣替え

10/19/2022, 4:21:39 AM

夏の頃とはうって変わって、一気に透明度を上げた空を見ると、秋になったなと実感がわいてくる。それもこれも、地軸のおかげだ。

何を突然と思われる向きもあろうが、他でもないこの地軸が絶妙に傾いてくれているおかけで、私たちは四季を感じることができる。もっとも、赤道へ近づく程に四季は影を潜め、雨季か乾期かの二択になっていく。四季がないなんてなんて淋しいと思うが、現地の人に言わせれば大きなお世話なのかも知れない。

コロナ禍にみまわれたこの3年、外出自粛・イベント自粛で家に籠っていることが増えた。私の場合はそれに反比例するように、今まで気にしていなかった身の周りのことに目が行くようになった。

例えば、近くに烏瓜が植えてあるお宅があることを去年初めて知った。早朝の散歩の途中で、茶色に枯れた蔓の先に楕円形の鮮やかな朱色をした烏瓜の実がなっているのを遠目に見つけた時は、なんだかとても嬉しかったのを覚えている。

今年も空が透き通ってきた。また烏瓜を探しに出かけようか。

お題:秋晴れ

10/17/2022, 12:04:53 PM

こんな話を聞いたことがある。

人間の脳は過去の嫌な体験を好んで思い出すという。
脳は刺激的なことが大好きだ。そして、愉快な思い出より不愉快な思い出の方が刺激が大きい。従って、本人の意思に関わらず、不愉快な思い出を再生して追体験する。

どうせ追体験するなら楽しいことのほうがいいに決まっていると思うのだが、そうでない個体のほうが遥か昔から生き残ってきたのだろう。だから今の私にもそんな機能が搭載されている。

そういえば、鬱病も人という種が生き残るためにプラスの効果があるから発症するのだ、というような説も耳にしたことがある。

種の存続や進化の話など壮大すぎて私の手に負えないし、真偽のほども定かではないが、もしそうであるならば、10年来格闘中の私のこの忘れたくても忘れられない記憶もいつか何かの役に立つのだろうか。
途方もない話だ。

お題:忘れたくても忘れられない

10/17/2022, 5:42:30 AM

外国(とつくに)で見上げた朧月

曙光ー特に早春から初夏にかけて

電気を消して灯す蝋燭

真っ白なキャンバスの反射

すりガラスの窓辺


どれもこれも
忘れがたい
ノスタルジーに満ちて

お題:柔らかな光

10/15/2022, 11:29:47 AM

家の周りにはよく野良猫が出没している。何故野良だと断言するのかといえば、理由の一つは目つきが鋭いのだ。ずっと飼い猫だった個体に比べて、野良猫期間がある個体は目つきが鋭いように思う。
当然、警戒心も強い傾向があるので、猫派を自認する私がいくら撫でたいと思っても近づかせてくれるコには出会ったことがない。

しかし、一匹だけ不思議な行動をするコがいた。

数年前のことだ。

玄関を出たところで、そのコが日向ぼっこしているのを見つけた。向こうも私に気がついて、いつでも逃げ出せるように体勢を整えたのがわかった。
むやみに近づいて脅かすのもかわいそうだ。けどやっぱり可愛いな、とその場に立って見ていると、なんと向こうから近づいて来るではないか。
初めての行動に戸惑っている間に、足のすぐ脇をかすめてそのコはどこかへ行ってしまった。

また別の日。同じコが同じところにいるのを見つけた。今度も逃げない。これはもしかして撫でてもいいのか、と淡い期待をして私が一歩踏み出すと、そのコはあっという間に三歩分くらい距離をあける。期待はしょせん期待だなと思わず苦笑いして、何の気なしにその場へしゃがんだ。すると、また向こうから近づいて来る。手を出したい気持ちをこらえて見ていると、警戒しつつも膝のすぐ脇を通って行ってしまった。

ツンデレ猫。

撫でさせてはくれないけれど、至近をわざわざ歩いて行くそのコに私が着けた仮名だ。その後何回か遭遇したが、いつの間にか見かけなくなった。

鋭い眼差しの可愛いあのコは今どうしているだろうか。


お題:鋭い眼差し

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