今日こそは、家から出よう。
人から見られて恥ずかしくないような、目立ちにくい服を着よう。普通の人になりきるように、髪を直そう。人から自分の顔をあまり見られないように、マスクをつけていこう。
期間限定。本日限りのセール。今日から数日間のイベント。
誰かにとっては嬉しくて楽しみだと思うことも、自分にとっては迷惑でしかない言葉。
やっぱり明日にしようか。
今日は向いてないから。
_街へ_
優しい人が好き。優しい人になりたい。
優しい人が嫌い。優しい人になりたくない。
優しいの基準は人によって違う。そんなことは分かってる。自分が優しいことも、優しくないことも知ってる。気づいてる。
けれど、自分はどうしても「優しい人」を求めてしまう。
どうせ突き放してしまうのに。優しさは返せないのに。泣きたくなるに。苦しくなるのに。
ごめんなさい。ありがとう。
これすら言えないかもしれないのに。どうして、優しさなんてものは存在するのだろう。
「優しい人」はこの世で1番難しい。
_優しさ_
頭まで毛布をかぶる。少しだけ息がしずらいけど、これで良い。これが自分だけの空間。
聞こえるのは、たまに通る車の音と時計、そして自分の息。
目の前はもちろん真っ暗で何も見えない。現実と一緒だなんて考えて。自分で考えた癖に、それに少し嫌気がさす。
ほんの少しだけ、毛布から顔を出す。
今、目の前にある自分の手は本物だろうか。その答えは結局、真夜中の今じゃ分からない問題。
_ミッドナイト_
友達。
それは、良い意味にも悪い意味にもなる言葉。
永遠の友情をお互いに持った関係。いつでも助けてくれて、自分なんかと仲良くしてくれる。ずっと側で寄り添ってくれる。
安心できる、優しい存在。
表面上の関係。そんな友達はたくさんいる。友達なんて言っておけばどうにかなる。そんな雑な扱い方もできる。
いつ裏切られるのか、不安になってしまう存在。
ふと、考える。自分の友達はどちらだろうか。
そもそも自分に友達はいただろうか。
「友達」とは、とても面倒だ。
_安心と不安_
いつの日かの記憶。
夕日に照らされた誰か。あれは誰だろう。
あぁ、無理だ。思い出せない。
ただ、あの日があったことは確かに覚えている。でも、あの日があったことと誰かがいたこと。それしか覚えていない。
だから、それはホントに現実だったのか。あまりにも覚えていない為、夢なのではないかと感じる。それぐらいには、きっと古い記憶。
誰が、どんな表情で、なんて声をかけてくれたのか。自分かもしれない、全く知らない人かもしれない。
唯一、鮮明に覚えているのは1つだけ。
誰かの後ろに映る夕日はとても美しかったこと。
_逆光_