空を飛んだ。
風船を持って飛んだ。たった1つの風船。それでも、その風船は自分を飛ばしてくれた。星がよく見える雲の上まで。あと少しで届きそうな光だった。
誰かと話した。
何を話したのか、誰と話したのか、どこで話したのか、なんて。覚えていないけど。ただ、これだけは。とても安心して、温かかったことは覚えている。
朝だ。思わず、もう一度目を閉じる。
現実とは違う。
だからこそ、自分は夢をみる。明日も変わらず朝が来てしまうように。
_こんな夢を見た_
過去に戻ったら何をしようか。
未来に行けるならどうしようか。
さっきのことを、やり直したいな。ただ、ちょっとしたこと。ほんの少しのことだけど。今の自分にとっては大きなことで。
明日、自分は生きているだろうか。明日と言わず、数時間後でも、数分後だっていい。自分の存在証明を。この目で確認しようか。
あぁ、でも。きっと自分は使いこなせない。
今を必死に生きてるから。それだけで十分。
_タイムマシーン_
今日は満月。
小さな自分も、大きな山も、全てを照らしてくれる。ほんの少しだけど、優しい光。
今日は三日月。
少し光は弱いけど。その微かな光で自分は救われる。小さくて弱い、自分の影。自分はここに生きている証。
今日は新月。
何も見えない、真っ暗だけど、確かに存在する。いつもは自分を照らしてくれるから。今日だけは、ゆっくり休んでほしい。
どれも違う、特別な夜。
今日だけの。
_特別な夜_
ゆっくりと目を開ける。
あぁ、夢か。
苦しくもない。辛くもない。寂しくもない。痛くもない。冷たくもない。
ただ、どこかあたたかい。
ずっとこのままでいたい。このまま沈んでいきたい。けれども明日はやってくる。
だから、少し。ほんの少しだけでいいから。
自分に優しく。
_海の底_