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7/31/2023, 10:14:01 AM

外は嫌い。
うるさいし、目が痛いし、肌に触れる風でさえ苦しくなる。
「大丈夫?」
その優しい声も俺なんかじゃなくて、もっと他の人のために使ってよ。
優しくしないで。
「大丈夫」
あとから否定できたら楽なんだろうな。
あなたは俺が大丈夫じゃないのもわかってる。
これは『一人でいたい、大丈夫じゃない』を言えるようにする練習。
言えるようになるまで終わらないというあなたの言葉を思い出した。
「家帰ろっか」
嫌われた?
俺がずっと言えないから。
「うん」
バイクのエンジン音に泣きたくなる。
そんな大きい音出さないで。
家に着いて、あなたは自分の家のようにソファに座る。「さっきのバイクの音、大丈夫だった?」
「うん」
俺はあなたの隣に座って顔を見れずに答えた。
どう声をかけたらいいか分からなくて袖を引っ張った。
「どうした?」
「外、疲れた。」
絞り出した声は頼りない。
「うん」
それでもあなたは聞いてくれる。
「うるさくて、目痛くて、頭ガンガンしてる」
あなたはずっと耳を傾けてくれる。
「だから、一人でいたい」

7/30/2023, 12:02:50 PM

吸い寄せるような青い瞳に一目惚れをした。

7/30/2023, 5:08:50 AM

嵐が来ようとも何かをやり遂げる、なんて強い意志は私には無い。
逃げて、逃げて、逃げた結果の今だから。
就職して働かなくちゃとは思うけど、それも上手くいくかわからない。
まぁいいや。
難しいことを考えるのはレポートを終えてからにしよう。

7/29/2023, 2:35:04 AM

君と駅で待ち合わせた18時。
初めての浴衣に袖を通した私は、君にメッセージを送る。
早く来ないかな。
スマホの着信音。
北口ついたよ、と。
辺りを見渡すが、君らしい人はいない。
電話がかかる。
「もしもし」
「今どこ?」
人の声で聞き取りにくくなった君の声。
「北口のあの、飾りあるところ」
「飾り?わかった。そこいてね」
優しい私を呼ぶ声。思わず緩んだ口角。
顔を上げると君がいた。
「久しぶり」
この前あったのは四月だっけ。
「うん、久しぶり」
自然に繋げるようになった手が、少し汗ばんでいる。
歩きだす君。
浴衣、好みじゃなかったかな?
なんて口に出せないまま歩く。
会場について、屋台を巡る。
蒸し暑い人混み。
「あと十分で花火始まるんだって」
「そっか」
穴場の神社には私達二人。
会った時よりも緊張した声で、君が名前を呼んだ。
「浴衣似合ってるよ」
「ほんと?」
顔を逸らして頷いた。
「ありがとう」
こっち向いてよ。
君の名前を呼ぶ。
振り向いた君にそっと唇を重ねた。

7/27/2023, 2:44:33 PM

夢を見た。
神様が空から舞い降りてきて、こう言った。
「お前は人を救う側の人間だ」と。
何言ってんだよ。俺は人なんて救えない。
力不足だ。幼馴染だって救えなかったくせに。
そう思いながら雲の上と見られる場所を歩いていく。
それに自分のことだってまだ、救えていない。
昔の自分。
それを考えていたら階段を踏み外した。
落ちる感覚がして目が覚める。
うるさい心臓をそのままにして額の汗をパジャマの襟元で拭う。
昔。
怒られて、馬鹿にされて、全てが嫌いだったあの頃。
思い出してしまった記憶は、なかなか頭の隅に行ってはくれない。
テーブルに置いたたばこに手を伸ばし、火をつける。
過去すら捨てきれてない俺が人なんて救えるかよ。
そんな思いを煙に乗せて吐き出した。

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