君と駅で待ち合わせた18時。
初めての浴衣に袖を通した私は、君にメッセージを送る。
早く来ないかな。
スマホの着信音。
北口ついたよ、と。
辺りを見渡すが、君らしい人はいない。
電話がかかる。
「もしもし」
「今どこ?」
人の声で聞き取りにくくなった君の声。
「北口のあの、飾りあるところ」
「飾り?わかった。そこいてね」
優しい私を呼ぶ声。思わず緩んだ口角。
顔を上げると君がいた。
「久しぶり」
この前あったのは四月だっけ。
「うん、久しぶり」
自然に繋げるようになった手が、少し汗ばんでいる。
歩きだす君。
浴衣、好みじゃなかったかな?
なんて口に出せないまま歩く。
会場について、屋台を巡る。
蒸し暑い人混み。
「あと十分で花火始まるんだって」
「そっか」
穴場の神社には私達二人。
会った時よりも緊張した声で、君が名前を呼んだ。
「浴衣似合ってるよ」
「ほんと?」
顔を逸らして頷いた。
「ありがとう」
こっち向いてよ。
君の名前を呼ぶ。
振り向いた君にそっと唇を重ねた。
7/29/2023, 2:35:04 AM