・愛情・
母からの愛情を感じる。確かに感じる。でも、それが母性愛だと感じたことは無かった。彼女のそれは友愛だと感じていた。2人で飲んでも、お茶をしても、家庭の愚痴を沢山聞く。私も、愚痴を言って、共感してしまう。ときどき、嫌になって、突き放したりする。また、愚痴を聞く。
私には母親も、父親もいない。目の前にいるのに、精神的には親としては見れない。目の前の彼らは、切っても切れないような縁の友達なのだ。
彼らから、自立しなくては、お互い辛いだけ。教わって来なかったものを、教わろうと思いすらしなかったことを、今になってだけれど、身に付けたいと思い始めた。
急げ!勝手に煮詰まらない程度に、孵化して飛ぶんだ。
・微熱・
苦悶が増える。また一分、熱が上がる。そうして、いつの間にか、私の熱は、七度五分が常となってしまった。気怠さが続く日々。また、一分上がる。
小さな幸せを見つけた。一分だけ、熱が下がった。もしかしたら、時期に並の熱に戻る日が来るかもしれない。
世も、捨てたものではないかもしれない。そう思って、今日も微熱の一日を耐え抜く。
・太陽の下で・
願わくば花の下にて……という歌を思い出した。
太陽の下で死なん……日の目を見て死なん……とは思わない。けど、願わくば、尊敬する彼らの世界に近い、もう少し明るい場所で息絶えたい。
彼らが笑っているのを見られるくらいの場所がいい。
・セーター・
普段は着ないセーターを着てみる。
普段は掛けない眼鏡を掛けてみる。
ちょっと澄ました顔で、
でもやっぱり恥ずかしくてニヤける。
いつもと違うかっこよさがあるねって言ってくれた。
でもやっぱり変わらない良さがあるねって言ってくれた。
少し気分の上がった一日。
明日もきっと少し良い日。
・落ちていく・
「たとえ、二人がこの冷たい深淵の只中を落ちているのだとしても、抱きしめた時のこの体温というのは酷く生きている安心を感じる。」
と彼は言った。
胸に耳を当てた時の心拍音、蠢く身体と、腕から伝わる体温。目の前の、大好きな人間が生きている。酷く安心する。すぐには亡くならないでほしい、と、命を燃やす。
私は、貴方に落ちていっています。