道草

Open App
2/4/2023, 1:55:19 AM

千年前を生きた君は
千年後に僕に生まれ変わって
ときどき僕の心を支配する
そう考えると
辻褄の合うこともある
繰り返して
千年先にまた君に生まれ変わるであろう僕の
心を支配するのは君なのか
それとも僕なのか

2/1/2023, 6:41:26 AM

今日というごちゃごちゃの旅の途中で
知らない誰かの淹れてくれたコーヒーが
最高の道連れになる日常
たまたま同じ車両に乗り合わせた人たちに
些細な理由で親しみを感じてしまう日常
空間の歪みをもろともせず
スマホとスマホが僕らを繋げる日常
記憶よりも早く上書きされていくシステムに
容易く打ちのめされる日常
その旅路の果てで僕らは眠る
次が始まるまでの休符、一個分

1/30/2023, 1:15:26 PM

きみが僕に与えてくれるものは
計り知れない
だけどきみは神様ではない
浮かれたり落ち込んだりと
毎日忙しい小さなひとりの人
だから僕はきみを崇めたりしない
きみと目線を同じにして
きみの考えてることに耳を澄ます
聞こえてくるものは夢ではなく
悪夢でもなく
飾りのない本当の現実


「あなたに届けたい」

1/28/2023, 1:38:26 AM

結露して磨りガラスのようになった
窓の外が青く染まっている
間違いなく晴れている
それも雲ひとつない完璧な空
起きたらすでに10時を回っていて
世界もすでに回っていた
とりあえず僕の
今いる位置を確認する
間違いなく自分の部屋
丸くなった猫の背中が
その証し
君がいることで
僕の世界は定まる
リセット完了


「優しさ」

1/27/2023, 9:50:33 AM

誰かに会いにいく真夜中に
冬の星は密かに僕を讃える
だから僕は歩いて歩いて
次第にスピードを上げることができる
冷たかった感覚が少しずつ温まって
指先も足先もじんわりとしてくる
僕の周りは一面の静寂で
追い越していく車に
ときどき二分されるけれど
しばらくするとまた
ぴったりと合わさる
一面の静寂
空を飛ぶものも今はいない
鳥も飛行機も巣穴に帰ってしまった
誰のものでもなくなった空に
ぽっかりと浮かんでいる
僕は君に会いたかった


「ミッドナイト」
 

Next