道草

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10/2/2022, 2:13:02 AM

夕暮れのメリーゴーランド
暗くなりはじめた街をめぐる
迫りつつある闇を寄せつけないように
黄金色に飾られた列は
疲れた僕らを乗せてゆっくりと音もなく
馬上の誰もが無口になって
通り過ぎるたそがれを見ていた
刻々と変わってゆく空の色が
人の心の中に似ていたから
みんな何も言えなくなったんだ

10/1/2022, 5:28:46 AM

僕は嘘をつきながら生きている
自分を演出しなければならない世の中に
生まれて来たわけだから
強く見せたり弱く見せたりと
きっと明日も正直にはなれない
秋が来て、空が高くなって
町も僕らもさらに小さくなっていく
だけど僕がつき続ける嘘だけは小さくならなくて
それでもいいんだよ、と誰かに言って欲しくなる

9/27/2022, 12:31:30 PM

降り出したのは雨という名前だ
通り過ぎていくまでの短い時間の名前は知らない
静かな雨はいつも色々と連れてきて
こうやって僕の前に映しだす
僕は遠い過去の夢を見る
大抵は君のことだ

9/27/2022, 8:14:17 AM

吹き抜ける風の中に 時々秋が見える
昨日より低い軌道で巡る太陽
疲れた街路樹の薄い影が揺れてる
これといった思い出もないまま
季節は閉じていこうとしてる
蝉しぐれも 風鈴の音までも
全部引き連れて
何かで一杯になった小さな箱だけが
疑問符のように残される

9/25/2022, 11:14:09 PM

昨日の空気は澄んでいて
町の輪郭がはっきりとしていた
そこには何の間違いもなかった
夏の間、僕らはずっと
隙間だらけの空気の中に紛れていたけれど
昨日はもうだめだった
凛とした町並みに
僕らは向かい合うことしかできなかった
その景色に圧倒されながら
それが発する密かな声を聞こうとしていた
夏は突然、秋に変わったのだ

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