『鋭い眼差し』
視線を感じる…
誰かが鋭い眼差しでこちらを見ているような気がして、授業に集中できない…
推しの先生の授業だから、集中させてよ!
先生に気づかれないように周りを見渡す
さっきの鋭い眼差しで見られているような気配が消えた
私何かしたかな?
それから数日間続いた
しかも、必ず数学の授業中に鋭い眼差しで見られているような気がする…
なんで寄りにもよって推しの授業なのよ…
はぁ、今日も推しがカッコいい…
…はっ!
鋭い眼差しを感じる!
私は感じる方向に目線を向ける
委員長と目が合った
…なんで?
昼休み、委員長を呼び出した
なんで私を鋭い眼差しでみてたの?
と言おうとした時、委員長が口を開いた
「…数学のもりぴー、いいよね」
えっ…委員長ももりぴー良いと思ってるの?
「うん、俺もりぴーのあの流し目が好きすぎて推しなんだよね」
わかる!!
一重で眼鏡だから、流し目の破壊力半端ない!
「そっかぁ、君ももりぴー推しなんだね」
「もりぴーの授業中、もりぴーに向ける眼差しが推しのそれだったから…『きみにもわかるか、これが』って思いながら君をみていたよ」
そーゆーことね
私なにかしたのかと思ったよ…
じゃあ、もりぴー推し同士仲良くしましょ!
もっともりぴーの魅力を語り合いたい!
こうして、クラスに推し仲間が増えた
『涙の理由』
悲しい…
悔しい…
切ない…
嬉しい…
辛い…
涙の理由は色々あると思います
泣くなと言われることもあると思います
でも
我慢しないで
涙はあなたの素敵な宝物
涙を流してもいいんです
おもいっきり泣きましょう
泣いたら今度は笑いましょ
一緒に大きな声で笑いましょ
『束の間の休息』
おっ、どしたー?
そっちから連絡くれるなんて珍しいじゃん
最近ずっと忙しそうだったもんなー
こっちから連絡しても返してくれなかったし…
もう俺のこと忘れてるのかと思ってた…
冗談だって!
ごめんって!
そうなんだ
じゃあ、束の間の休息って感じ?
ということは…
またしばらく連絡くれないのかぁ
そっかぁ…
そりゃ、寂しいよ?
早く会いたい
…君もそう思ってくれてる?
へへっ、嬉しい
次、休み取れたらさ、2人でどこか行こっか
会えなかった分、2人で色々な所に行きたい
いっぱい抱きしめたい
好きだよ
頑張れよ、応援してる
じゃあな
「力を込めて」
力を込める、私の想いも一緒に
あなたとの喜びも
あなたへの悲しみも
あなたに対する怒りも
あなたは私の腕を抑えてもがいている
だめよ
大人しくしてよ
これであなたは私とずっと一緒にいれるようになるんだから
さらに力を込める
あなたはピクリとも動かなくなった
んふふ
これであなたと私はずーっと一緒
「踊りませんか?」
放課後の委員会が長引き、
急いで帰ろうと廊下を歩いていると
その光景が目に止まってしまった
空き教室で風になびくカーテンと一緒に
フワフワとスカートを揺らしながら踊る少女
とても綺麗で見惚れてしまった
しばらく眺めていると、目が合ってしまった
急いで目線を逸らし、帰ろうとしたその時
「待って!」
少女に呼び止められる
近づいてきて、手を握ってきた
「あの、私の踊りみてましたよね?」
「私と踊りませんか?」
断ろうと思ったが、強く握られているため断れず
先程少女が踊っていた空き教室に入った
「左手で私の右手を握って、右手は私の背中」
言われるがままに、手を握り少女の背中に手をまわす
「じゃあ、いくよ」
少女がそう言うと、フワフワとまわりはじめた
彼女と一体になって、風になびくカーテンのように踊る
彼女の顔をみる
とても綺麗で幸せそうな笑顔をこちらに向けてくる
こっちも釣られて笑顔になる
下校時刻のチャイムが鳴った
ぱっと手を離す
下校時刻になるまで踊っていたのか…
少女が微笑みながら言う
「明日の同じ時間、また踊りませんか?」
それから毎日、同じ時間同じ場所で、
名前も学年も知らない少女と踊っている