秋茸梓樹

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「踊りませんか?」

放課後の委員会が長引き、
急いで帰ろうと廊下を歩いていると
その光景が目に止まってしまった

空き教室で風になびくカーテンと一緒に
フワフワとスカートを揺らしながら踊る少女

とても綺麗で見惚れてしまった

しばらく眺めていると、目が合ってしまった
急いで目線を逸らし、帰ろうとしたその時

「待って!」

少女に呼び止められる
近づいてきて、手を握ってきた

「あの、私の踊りみてましたよね?」
「私と踊りませんか?」

断ろうと思ったが、強く握られているため断れず
先程少女が踊っていた空き教室に入った

「左手で私の右手を握って、右手は私の背中」
言われるがままに、手を握り少女の背中に手をまわす

「じゃあ、いくよ」
少女がそう言うと、フワフワとまわりはじめた
彼女と一体になって、風になびくカーテンのように踊る
彼女の顔をみる
とても綺麗で幸せそうな笑顔をこちらに向けてくる
こっちも釣られて笑顔になる

下校時刻のチャイムが鳴った
ぱっと手を離す
下校時刻になるまで踊っていたのか…

少女が微笑みながら言う
「明日の同じ時間、また踊りませんか?」

それから毎日、同じ時間同じ場所で、
名前も学年も知らない少女と踊っている

10/4/2024, 1:50:38 PM