いつもニコニコの彼が泣いていた。
どうして涙を流しているのか、私は気になりすぎて聞いてしまった。
「ね、どうしたの?いつも笑顔なのに。らしくないよ」
「そ、そう、かな……ごめん、今はちょっと泣きたくて……」
そういうなり、机に突っ伏してしまった。
よほど悲しいのか、ふるふると力なく震えている。
私は「そっか」と一言だけ呟き、教室を出た。
その時に聞こえたのは、彼の笑い声。
急に笑いでしたことに、私は気味が悪くなって急ぎ足で玄関まで駆け下りた。
「――あー……こんなにオレにも話しかけてくるヤツがいるんだ。いっつも気持ち悪いって避けられてたのに……。明日からどう接しよう。ワクワクが止まんないよ……」
〜ココロオドル〜
〜涙の理由〜
――ちょっと、疲れちゃったね。一休みしてから、また食材探し頑張ろう!今度はきっと、たくさんの人からお恵みが貰えるよ!!
……え?もう動けない?お腹いっぱい減っちゃった?
……分かった。僕の分を分けてあげるよ。それから、おんぶしてあげる!
だって、僕はお兄ちゃんだもん。これくらい、平気だよ!
……そんな悲しそうな顔しないでよ。僕はへっちゃらだって!!ほら、こんなに手足が動くんだよ!だから大丈夫。安心してよ。
僕は絶対死なない。弟を置いていかない。
僕は違う。……アイツらなんかと違う。
だから今は、弟のためにも頑張らなきゃ。そして、僕たちふたりで幸せに――
〜束の間の休息〜
██に手をかけて……
グッと力を込めて……
自分の脈と、相手の脈の速度がすれ違って……
僕は興奮して、
相手はの顔はぐちゃぐちゃに乱れて、
その一部始終を見ていた第三者は、
ニッコリ笑いながら涙を流していた。
そんな過去の話を思い出した、今日この頃。
〜過ぎた日を思う〜
〜力を込めて〜
「あ!見て見て!!空にお星様がいっぱいだぁ〜」
「あっそ。ま、俺にはどーでもいいけど」
……あー可愛い。
もうすんごく可愛い。
あの、わたあめみたいに、こう、ふわって感じの笑い方がもう本当に好き。
「ね、あれ何座か知ってる?」
「は?知らねーし……」
うわー!!首傾げながら聞いてくるとか、反則すぎだろー!!可愛すぎるってぇぇぇ!!
「ちょっと、聞いてる?おーい」
「はーーい!!……って、あ」
や、やべぇ……!やらかした……!
つい心の中のテンションで言っちまった……!!
いや、まだいける、落ち着け……
「……なんだよ」
「あれ?さっきはすごく元気に返事してくれたのに、またいつもみたいに戻っちゃった……私的にはさっきの方が良かったのになぁ」
……もうカッコつけて、クールぶるのやめよ。
〜星座〜
さらり、となびく艶やかな黒髪に、
控えめに飾られる青い薔薇のコサージュ。
このパーティー会場で目立つと言ったら、そうでは無い部類。
煌びやかなアクセサリーは身に付けておらず、
全体が落ち着いた暗めの青でまとめられている。
――そんな彼女を遠目で見ていた時。
コッコッコッとヒールを鳴らして、急ぎ足で来る彼女。
しかも、僕に向かって。
そして目の前に着くなり一言。
「私と一緒に踊りませんか?」
ちょっと息を切らしながら、柔らかく笑う彼女。
僕はすかさず答えた。
「喜んで」
〜踊りませんか?〜