人間らしい感情。
これがなくなったら、自分どうなってるんだろ。
そんなの、機械と変わらない気が。
喜怒哀楽etc.
無のままは、なんかヤダな。
〜いつまでも捨てられないもの〜
海に反射するのは、ぐにゃんぐにゃんになった軟体月。
星が沢山煌めいて、いい夜ですね。
波の音も心地いい。
あっ、波がやってきた。
あっ、帰っちゃった。
自分の両腕を精一杯大きく広げてみる。
なんだか、海の支配者になった気分だ。
そのまま鼻から息を吸い込むと、全身が潮の匂いで満ちて、海と一体化する。
〜夜の海〜
見たことのない景色を目指して、
今日もひたすら漕ぎ続ける。
私の相棒の自転車と一緒に。
上り坂、下り坂、でこぼこ道。
定期的なメンテナンス。
空気を入れてあげるのも忘れずにね。
絶好の晴れの日。
――さて、今日も行こうか。
〜自転車に乗って〜
『この薬があれば、どんな症状にも効く!!』
なんて、売り込みチラシに書いてあったから、試しに買ってみた。
風邪はもちろん、打撲や骨折、さらには精神的な心の病にだって効くらしい。
評価は花丸。
会社の同僚も、「これめっちゃオススメ!この薬さえあれば、あと他には何にもいらないよ!!」だって、
正直なところ、不安でしかない。
かなり高額な値段だったし……
小さな小瓶を揺らしてみると、タプンと毒々しい紫の液体が揺れ動く。
……やっぱり飲むの、やめようかな。
でも、今は絶不調期。
理由は言わないけど、多大なストレスでもうぶっ倒れそう。
ね、そこの貴方。
この薬、飲んだ方がいいと思う?
〜心の健康〜
放課後。
蝉が鳴く真夏。
今となっては使われていない音楽室で、
君はピアノを演奏する。
曲名は無名。
そう、勝手に僕は名付けている。
聞いたことが無い旋律が、僕の耳に届く。
腰くらいまである、長い黒色の髪を揺らして、
君は激しく、かつ、美しく音色を奏でる。
話したことなんて一度もない、そもそも違うクラスだし。
でも、彼女の音楽はとても好きだ。
なんだか、音が生きているような気がするから。
〜君の奏でる音楽〜