「私に生きる意味なんてないよ」
幼なじみの彼女はヘラヘラと笑いながら言った。それは僕がちょうど昼食を食べているとき。周りがガヤガヤしていたのに対して、その言葉だけはハッキリと聞こえた。「どうして」と、問いかけてみる。すると、牛乳の紙パックを片手に、話し始めた。
「自分が、分からなくなっちゃったんだ」
「自分が……分からなくなった?」
「そう。この先の行く末を見いだせないの。ほら、私達もう高三じゃん?なんかさー、特にやりたいことがないって言うか」
「そんなの、今からでも見つければいいじゃないか」
「んー、言っちゃ悪いけど、面倒くさい。なんならまだ、消えた方がマシな気がする。どうせ、最後にはみんないなくなるんだから」
ね、生きる意味なんて無いでしょ、と屈託のない笑みを浮かべる。僕はその笑顔を見て、何だか裏がある気がしたけど、何も言い出せなかった。
〜生きる意味〜
善い行い、悪い行い、それぞれ基準がある。
でも、人によって、感じ方は違うから、
その基準だけを頼りに生きていくもんでもないと思う。
〜善悪〜
「あっ!ママ、見て!ながれぼし!!」
自分で淹れたコーヒーを片手に、ぼうっと夜の一息を着いていた時。愛おしい私の娘が、嬉しげにはしゃいでいた。窓にべったり張り付いて、まるで樹液に集まるカブトムシのようだ。ふふっと笑いながら、ソファから立ち上がる。
「ママッ、ながれぼし、もう行っちゃった」
残念そうに呟く。しゅんと頭を垂れて、悲しげな表情をしている。願い事を言えなかったのかなと思い、私はそっと頭を撫でてあげた。
「そっかぁ……ながれぼしさん、バイバイしちゃったのね……」
「うん……ママのおねがいごとも、きいてもらいたかったのになぁ」
私の願い事。思わずビックリして、「えっ」と声を漏らしてしまった。この子には沢山迷惑をかけてきたのに。お父さんがいない生活で、色々我慢させていたと思うのに。なのに、私のことを……
「――ママのお願い事は、もう叶ってるよ」
こんなにも可愛くて愛おしい娘がいるのだから。これからもずっと一緒にいることができるのなら、もうこれ以上の願い事はないわ。
〜流れ星に願いを〜
この世にルールってものが存在してなきゃ、どうなってたんだろうね。
毎日、戦争が起こってしまうのかな。
大きなものから、小さなものまで。
色んな場所でひっきりなしに。
あ、いや、逆にみんな笑顔になるのかな。
本当に心の底から幸せな笑顔と、上辺だけの冷たい笑顔。
それらが入り交じって溶け込む。
難しい。
ルールがあった方が、まともな生活を送れる?
きっちりした世の中になる?
でも、縛られすぎても良くないと思うの。
だからと言って、ルールがなきゃ、自由過ぎて色々とやんなっちゃう。
やっぱり、そこのバランスが大事だよね。
〜ルール〜
今日の心模様は、晴れのち雨。
大好きな人と一緒に公園に行って、色んなお話をした。
昨日見たテレビのこととか、今日の授業のこととか、たわいもない話ばかり。
でも、私は舞い上がっちゃうんだ。
だって、自分の想い人が隣に座って、笑ってくれるんだもん。
だけど……肝心なことは伝えられなかった。
あなたが好きって言うことと、私の命はあと一年ってこと。
今日もいつもの分かれ道でバイバイした。
あの人は笑って、元気に手を振ってくれた。
それが私にとって、大切なエネルギー源になる。
なんて……そんな日が続くのも、限られてしまっている。
あ〜ぁ、明日は快晴だといいなぁ。
〜今日の心模様〜