「あっ!ママ、見て!ながれぼし!!」
自分で淹れたコーヒーを片手に、ぼうっと夜の一息を着いていた時。愛おしい私の娘が、嬉しげにはしゃいでいた。窓にべったり張り付いて、まるで樹液に集まるカブトムシのようだ。ふふっと笑いながら、ソファから立ち上がる。
「ママッ、ながれぼし、もう行っちゃった」
残念そうに呟く。しゅんと頭を垂れて、悲しげな表情をしている。願い事を言えなかったのかなと思い、私はそっと頭を撫でてあげた。
「そっかぁ……ながれぼしさん、バイバイしちゃったのね……」
「うん……ママのおねがいごとも、きいてもらいたかったのになぁ」
私の願い事。思わずビックリして、「えっ」と声を漏らしてしまった。この子には沢山迷惑をかけてきたのに。お父さんがいない生活で、色々我慢させていたと思うのに。なのに、私のことを……
「――ママのお願い事は、もう叶ってるよ」
こんなにも可愛くて愛おしい娘がいるのだから。これからもずっと一緒にいることができるのなら、もうこれ以上の願い事はないわ。
〜流れ星に願いを〜
4/25/2023, 3:00:24 PM