とくん
あっ、見られた?
とくん、とくん
私の秘密、バレちゃったかー。
とっ、とっ……
私ね、今すんごいドキドキしてる。
と、と、と……
あなたに見つめられて、ゾクゾクしてる。あ、これはなんだか変態チックな言い方ね。
どっ、どっ……
なんでそんなに怖がってるのさ。大丈夫だよ。あ、もう口調変えてもいいよね。
どくん、どくん……
……あぁ、久しぶりのまともな食事ができる。それも、ずっと目をつけていたあなた。
どくん
さぁ、後はおうちへ帰りましょ?もちろん一緒にね。
あなたの隅から隅まで、堪能させてもらうわ。
〜見つめられると〜
私の心は、もうとっくに決まっている。
多分これは、運命の恋だ!
そうと決まれば私は告白するしかない!!
大好きなあの人へ!!!
――きっとこれは、産まれる前から決まっていたこと。
運命の導きが、私とあなたを結び付けてくれたの。
私はそう信じる。
まぁそれでも、あなたの心を聞くのは、ちょっと怖いけどね……
〜My Heart〜
「死んだ君に会いたい」
ベッドに身を投げ出した僕は、そう呟く。真っ直ぐ上に手を伸ばしたって、掴めるのは目に見えない空気だけ。ゴロンと横になって、目を瞑る。
――浮かんでくるのは、あの向日葵畑の光景。
目を開ければ、そんなものどこにも見えない。
ふと、目に入った写真立てを手に取る。そこには、太陽の光をバックに、優しく微笑んでいる君がいた。僕はそっと口付けを落とす。
嗚呼、どうかもう一度、僕の元へ――
「君が生きているうちに伝えたかった気持ちを、届けたいから」
〜ないものねだり〜
あんな根暗女なんか好きじゃないのに。
なんでこんなやつが、席隣なんだよ。
男友達がいたら最高だったのによ。
入学早々、最悪だわ。
好きじゃないのに。
ボソボソしてる喋り方とか、
ずっと下向いて何かひたすら呟いてたり、
授業中のペア活動も、俺と目を合わせないで話したり。
だからずっと一人で、お先真っ暗なんだよ。
……好きじゃ、ないのに。
髪の隙間から覗く綺麗な瞳とか、
不意に見せる笑顔とか、
俺が忘れ物してきた時、優しくしてくれるとか、
まじ意味分かんねぇ。
何なんだよアイツ。
――嫌いじゃないのに。
あれ、いつの間に俺……アイツのこと……
〜好きじゃないのに〜
今日の僕の心は雨模様。
だって、自分の嫌いな教科のテストがあるし、
給食ジャンケン負けるし、
教室の雑巾がけでは滑って転ぶし。
……でも、
放課後、僕はずっと気になっていた女の子に告白した。
返事は――OKだった!
なんと両思い!!
僕の心は一気に晴れた。
もうさっきの嫌なことは全部吹き飛ぶくらい。
そう言えば、今朝の天気は……
「――ところにより雨です」なんて言ってたっけ。
ある意味、真逆(?)な出来事が今日、起こったなぁ。
〜ところにより雨〜