この『繊細な花』というお題なのだけれど
たとえばあなたはこれを見て
すぐに" その終わり "がきてしまうような
いのちとしての儚いお花をイメージする?
それとも
色あいや造形が単調ではない、
周りのお花とはちがう奥ゆかしさをもった
とくべつなお花をイメージする?
─
言葉を受け止めるひとによって
おはながおはなではないものにもかわってゆくし
おはながおはなよりもきれいなものにもなってゆく。
なによりも繊細なのは
ことばとわたしたちの結びつきだともおもう。
わたしはことばというものが
だいすきで、だいすきで、たまらない。
たとえばあなたのことを
わたしのふたつめのからだのように
なによりも大事に想い、なによりも手放したくないと
おもう日が来ること
たとえばそのわがままが
わたしひとりでは抱えきれなくなるほどに
おおきくなり、やさしいかたちをしたものではないものに
なってゆくひびが来ること
そしてそれを受け容れてくれる場所があること
─ それを描くひび。
わたしにはなにもない
わたしになにかを与えてくれる
あなたというはっきりとした道がほしかった
なにかを大事に想いたかった
なにもないわたしに
なにかを植え付けてほしかった
─
明るい日差しと小鳥の鳴き声。
なにもないわたしの部屋を透明な色が覆っていた。
変わらない朝が平穏だなんて
一体だれが思ったのだろう。
心はとっくに朦朧としているのに
この胸の命だけは走り続ける。
わたしの体は、何処へゆきたいのだろう。
─
『なんの重みもないわたしでも
いつかだれかの風になれたなら』
知れば知るほど
呼吸の意味がわからなくなる毎日も
隣にいる誰かとやり過ごせたなら─。
ずっとじゃなくていい。
一瞬でいい。
誰かのこころに、
住まわせてほしい。
誰かのきれいなひとみに映る
木々の景色になりたい。
いつかわたしが風になったころ
ふぅっとあなたのこころをよぎる、
邪魔ではない、心地よい風になれたら─。