とよち

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6/23/2024, 11:02:25 AM

「WORLD BACK 」
「2、投獄」
「690番!」「はい!」、看守は牢獄の鍵を開ける前に俺の方を向き「フッ」と鼻で笑い、意地の悪い笑みを見せた。これから俺はCブロックの「690号室」に入れられ、物置小屋のようなホコリ臭いネズミの巣で二十数年間を過ごす。最悪だったが、この刑務所の環境を見て諦めが着いた。どうあがいてももう、普通の人間には戻れないのだ。一日目に額を割られたゴロツキは、怨めしそうに看守を睨みながら、頭にまいた包帯を撫で隣の部屋へと入っていった。
彼の名前はマティス・ディーン、23歳。ニューヨーク出身の男で、小柄ながらも引き締まった体つきをしている。生まれた時は裕福では無いものの父母子ら共に三人仲の良い幸せな家系だった。しかし、不況に陥り家業を続けるのが困難になってしまい、父親もストレスからアルコールを大量摂取する用になり中毒症状で死んだ。高祖父の代から続いていた家財道具店も四代目で途絶え、母が雑貨店で下働きをしディーンを養っていた。しかし、無理が祟ったのか彼が19歳になった年に母親のマティス・アンナが脳卒中で倒れ帰らぬ人となった。それから一年は、アンナの面倒を見ていてくれた雑貨店の老夫婦が家に住まわせてくれたが、迷惑がかかるからと言いディーンは雑貨店を離れ、路上で暮らすようになった。それからだった。彼が変わっていってしまったのは。それから2年後の12月24日のクリスマスイブの夜、仲間の女の事で争いになり人を殺めた。そこで、彼の人生は銃口から上る煙と共に消え去っていった。

塀の中の1日は長い。昼が過ぎてから、夕方のチャペルが鳴るまで、丸3日かかったと言われても納得しただろう。その日は、無駄に味付けの濃くて量の多い飯を存分に腹に納め、支度をして横になった。外の世界より、やれることは少ないが衣食住には困らないようだ。入官してから3日間は見て学ぶ期間で、その後からは朝から晩まで周りと同じように働かされる。そんな事を考えていると看守の「消灯!」という声がこだました。眺めていた牢獄の鉄柵の外が一気に闇に飲まれ、窓からはいる月の光りが部屋中の物を淡く包んでいった。

6/12/2024, 2:16:02 PM

「WORLD BACK 」
第一章 囚人690番
「このハイエナ野郎!ぶっ殺してやる!おい!聞いてのんか!!」、夜の闇に赤黒く染まった裏街のレンガ塀にこだました声は、後に地響きのような45口径の銃声に変わった。
1、法廷と刑務所
「被告人に、禁固18年を求刑する。」そう言うと学生服のような法廷服の袖をヒラヒラとさせ、左腕の下にあったカベルを得意気に叩いて見せた。俺は裁判官と警察側を睨み付けるように見上げ、退出されられる時にもう一度振り向き意味ありげに笑みを見せてやった。
「囚人番号、687番!688番!689番!…おい、689番!おい!」、段々と看守の顔が真っ赤になってゆくのがはっきりとわかった。それでも見事なターコイズグリーンに染め上げた髪を少しも動かさないゴロツキは、囚人服のポケットに手入れ看守を挑発するようにヤニだらけの歯をチラリと見せた。そして「ぼくちゃん、好き嫌いをしちゃあダメだよぉ。番号は着いてても人間なんだぜぇ。あんたと同じ。」
「バキッ」と言う音が灰色をした刑務所の壁にこだますると同時に、 真横にいたゴロツキは床に倒れこんだ。看守が鼻から熱い息を出しながら、血の付いた官房をおもむろに投げつけ、怒り狂った肉食獣のような唸り声を上げている。「ぐあァァッ!!いてぇ、いてえよぉ!!クソッタレめ!!」。額をパックリと割られたゴロツキは泣きながら白い床を朱色に染めるほどにのたうち回った。「テメェと同等扱いすんじゃねえ!この出来損ないのチンピラ野郎が!警官をなめるとどんなめに会うかよく覚えとけ!!わかったらここから出ていって小さく丸まって自分のケツの穴に付いた糞でも舐めてろ!!」、そう言われても泣き止まないゴロツキ(今になっては転んで血が止まらず泣き叫んでいる幼児のようだ。)は奥から出てきた医療班に運ばれていった。「あんなガキ、死んでしまえ!!チッ!」、止まない悪態をつきながら看守は声を張り上げて私の番号を呼んだ。「690番!!」「はい!!」、私にもプライドはあるがあのゴロツキのようにはなりたくないので自分の出せる最大の声を、半ば泣きそうに鳴りながら看守にぶつけた。「ふんっ、次だ!」、多分私の声が少しでも小さかったら可愛がってやろうとでも思っていたのだろう。つまらなそうに看守は向きを返え、ドアを蹴飛ばした。
とよち
(明日は、「2、投獄」に続きます。)

後書き
こんなに長くて下らない作品のご視聴、本当にありがとうございます!明日は投獄されてからと犯行の詳細など書いてみようかなと思います!久しぶりにこのアプリをいれて、シリーズ物を書こうと決意したんですが、やっぱり物語は難しいですね!大体はエッセイを書いていたので。でも、引き続き頑張って書かせていただきます。できれば、暖かい目で見守ってくれると幸いです。これからもよろしくお願いします!

6/10/2024, 10:30:13 PM

久しぶりにこのアプリをいれた。これからはシリーズ物を書いていこうと思う。第一シリーズは「囚人」をテーマにしようと思う。