拝啓
春も近い頃とは申しますものの、
夜更けの風はまだ少しばかり肌寒く感じられます。
今宵は満天の星のもとにて、貴方のことを思いながら筆を執っております。
私の想い人へ
今宵の夜空はまるで誰かが宝石箱をひっくり返したかのように、星があふれています。ひとつ、またひとつと瞬く光を眺めておりますと、そのどれもが、貴方へ向かう私の想いの欠片のように思えてくるのです。
先日頂戴いたしましたお返事、たいへん嬉しく拝読いたしました。あのやさしいお言葉を読んでおりますと、胸の奥がほのかに温かくなり、気がつけば幾度も読み返してしまいました。貴方のお言葉は、静かな夜の灯りのように、私の心をそっと照らしてくださいます。
お返事のことは、どうぞお気になさらないでください。たとえすぐに届かぬ折がありましても、
私はきっとまた思い立った折にこうして貴方へお便りを書いてしまうことでしょう。
それでも、もしお時間のある折にまたお言葉を頂けましたなら、これほど嬉しいことはございません。
言葉にすればあまりに拙く、
胸の奥にしまえばあまりに溢れてしまうこの想いを、
今宵はただ、星々に託して筆を置きます。
もしこの溢れる星のひとつでも、
貴方の窓辺へと迷い込み、
夜の静けさの中でそっと瞬くことがあるならば、
どうかそれを、遠く離れた私の心とお思いください。
そう思いますと、遠く離れておりましても、
ほんの少しだけ貴方のお側にいられるような気がいたします。
かの空の光が絶えぬように、
この想いもまた、静かに貴方を照らし続けております。
敬具
追伸
お仕事に励んでいらっしゃるご様子を思いますと、
頼もしくもあり、同時に少しばかり心配にもなってしまいます。あまり無理をなさらず、
ときにはゆっくりお休みになってくださいね。
貴方が健やかにお過ごしでいてくださることが、
私には何より大切でございます。
遠くからではございますが、
いつも貴方のことを思っております。
満天の星とともに、次のお便りを楽しみにお待ちしております。
拝啓
今日は朝から、やわらかな光が窓辺に満ちておりました。昨日の手紙を書き終えてからまださほど時も経っておりませんのに、こうして筆を執っている自分が、どこか可笑しくもあり、けれど少し嬉しくもございます。貴方を慕う想いをまた綴れるのですから。
私の想い人へ
不思議なものですね。
幾度となくお目にかかっておりますのに、別れてからしばらくも経たぬうちに、すぐ貴方にお会いしたくなってしまいます。
先日まで確かに貴方のそばにいたはずなのに、
ふとした折に、その面影が恋しくなるのです。
とりわけ胸に浮かぶのは、貴方のあの安らかな瞳でございます。
微笑みながらこちらを見つめるその眼差しは、言葉に尽くせぬやさしさを宿し、私の胸の奥にある不安や寂しさを、そっと和らげてくれるように思われます。
もしも心が深い闇に沈み、行く先を見失うような折があったとしても、私はきっと貴方の瞳を思い出すのでしょう。
その面影は、暗がりの中に見いだされる一筋の光明のように、かすかでありながら確かな希望となって、私の胸を静かに照らしてくれるのでございます。
だからなのでしょうか。
何度お会いしても、またすぐに貴方に会いたくなってしまうのは。
こうして今日もまた、同じ面影を頼りに筆を進めてしまいました。もしこの拙い手紙をお読みになり、少しでも微笑んでくださるなら、それだけで私の胸は満たされるのでございます。
次にお目にかかる日が、一刻でも早く巡ってまいりますように。そしてどうか今日も、穏やかな一日が貴方のもとへ訪れますように。
敬具
追伸
今日ボロネーゼをいただいておりますと、不意にこの前貴方とご一緒した日の情景が胸に蘇りました。
ささやかな出来事でさえ、いつの間にか貴方の思い出へと繋がってしまうのですから、不思議なものでございますね。
拝啓 早春の候、いかがお過ごしでしょうか。三月とはいえ、まだ風は冷たく、朝夕は身をすくめるような寒さが残っております。そんな折、ふと貴方のことが胸に浮かび、こうして筆を取った次第です。
私の想い人へ
春の風がそっと障子を揺らすたび、
貴方のことを思い出します。
特別なことなど、何ひとつ望んではおりません。
ただ、朝の光のなかで貴方が微笑み、
夕暮れのやわらかな影のなかで同じ時を過ごすこと。
それだけで、胸の奥が満たされるのです。
華やかな言葉も、誓いの言葉も、
きっと私にはうまく綴れません。
けれど、ただ一つだけ確かな想いがございます。
願うならばずっと、貴方の隣で笑っていたいのです。
嬉しい日には共に声をあげて笑い、
つらい日には、そっと肩を並べて黙っていられる。
そんなささやかな日々を、
幾つも幾つも重ねてゆけたなら、
それ以上の幸せはございません。
もしも時の流れが私たちを老いへと導いたとしても、
その折にも、貴方の隣で微笑んでいられたなら
私はきっと、世界でいちばん満ち足りた人でしょう。
ですからどうか、
これからも変わらぬ場所にいてください。
私は今日も、
貴方の隣で笑う未来を、
そっと胸に抱いております。
ずっと、貴方の隣で。
敬具
追伸
この手紙を書き終えてから、もう三度ほど貴方のことを考えてしまいました。
私はどうやら、思っている以上に貴方のことが好きなようです。
ころころ地球は 今日も回る
争う声も 風に混ざる
どんどん怒りが 空まで昇る
だけど小さな 灯りもともる
そっと手をとり にこっと笑う
それだけでほら 夜がやわらぐ
ばんばん響いた 遠くの音も
だんだん遠く 静かにほどく
愛がぽつりと 胸へと降れば
平和はそっと 花のように咲く
きらきら金貨が ころころ落ちる
けれど心は どこかで凍る
ざくざく集めて 袋は重い
だけど笑顔は どこかで遠い
とことこ帰れば 灯りがともる
「おかえり」の声が 胸へと灯る
金貨は冷たい いつかは消える
けれどぬくもり ずっと残る
ころころ金貨か ぽかぽか心か
どちらを選ぶ?
私は選ぶよ 笑顔とぬくもり
きっとそれが宝物