向こうから誰かが手を振ってるのが見える
たそがれどきの時間帯
日が落ちてきて顔が影になって全然見えないけれど、僕に大きく手を振ってくれるのは君しかいないって分かってる
誰そ彼時、彼は誰時、月の光に照らされてた真夜中
君が僕に手を振ってくれるのなら
僕はいつでも君に手を振り返すよ
きっと明日も良い日になるはずだ
だって君に会えるのだから
たとえ雨が降ったり、上司に怒られたりして気分が落ち込んだとしても君に会えるだけで落ち込んでいた気持ちが吹っ飛ぶんだ
いつか君に会えなくなる日が来るだろう
永遠が来ないことはわかってる
明日会えなくなるかもしれないかもしれない
そんな日が来た時は、毎朝君の写真を眺め1日をはじめ、毎晩君の写真を眺めて夢で会える事を祈るよ
この世に絶対は無い
けどきっと明日も君に会えると信じている
静寂に包まれた部屋で貴方を思う
なんの音にも邪魔されずに貴方だけを頭に浮かべる
何も音は聞こえないけれど、貴方の笑い声が頭の中でずっと響いている
なにも聞こえない空間にいる時は、とても寂しいけれど、貴方の声を思い出して安心している
ずっと私の頭の中を貴方の音で埋めつくして
学校帰り、また明日ねと笑顔で手を振る君を見ていると、明日も絶対学校に行こうという気持ちになる。彼女と出会うまで、ただ何となく学校に通って、何となく1日が過ぎての繰り返し。こんな学校生活が3年間続くのだろうと思っていた。つまらない毎日を意味のある毎日にしてくれてありがとう。僕は彼女と一緒に話したり、笑ったりするために毎日を生きている。帰り際に、少し寂しそうに手を振る君を見て学校の1日を終え、おはようと挨拶をして学校の1日が始まる。毎日がとても楽しい。僕に生きる気力を与えてくれた彼女に感謝している。次の月曜日にまた会おう。
通り雨
天気予報ではあと数十分でこの雨は止むらしい
折りたたみ傘は毎日持ってきているので、急に雨が降ってきたからといって困ることは無い。ただ、あと数十分待てば少しも濡れずに帰れるというのなら、あと数十分待とうと思った。
「珍しいね、いつも早く帰るのに。今日は帰んないの?」
前の席の彼が話しかけてきた。
「雨が止んでから帰るつもり」
「傘もってきてないのか?」
「持ってきてない」
本当は持ってきてるけど、傘を持ってると本当のことを言ったら、彼と話す時間は減ってしまうのではないかと思い、誰にでも優しく接する彼はいつもすみっこで本を読んでるような私にも声をかけてきてくれる。席が隣になってからは、前よりも話す回数が増え、私は、彼のことを気になり始めた。そんな彼が話しかけてきた。話の話題を作ってくれた雨に感謝しなければ。
「君は傘もってきてるの?」
彼に聞くと、
「毎日オレは傘持ってきてるよ。最近急に降り出して濡れることが多いからさ」
「そうなんだ」
毎日折りたたみ傘を持ってきているということに私は親近感が湧いた。
「確か君と帰る方向一緒だよね?」
「そうだよ」
そう答えると彼は笑って、
「じゃぁ一緒の傘に入る?相合傘!」
と言った。思考が止まった。
もうみんな帰っており教室には私と彼の二人きり。ザーザーという雨の音だけが教室に響いた。
「相合傘?」
聞き間違いかもしれないと思って、もう一度聞いた。
「そう」
「相合傘はカップルとかがするんじゃないの?」
「君が嫌なら別に。濡れて風邪ひかれても困る。話し相手が居なくなるじゃん」
私以外にもはしている人は沢山居るのに、そんなことを言うなんて…なんで思わせぶりな人なんだろうと思った。まぁ、片思いなんて勘違いしたもん勝ち。
「私は全然良いよ。雨に濡れたくないからね」
特に予定もないためあと数十分位なんて待てるし、傘も持ってきてるので、一緒に帰る必要性はないけれど、近づけるチャンスだと思って、一緒に帰ることにした。
いつもより近い彼との距離。周りから見たらカップルだと思われてるのかな。彼はどう思ってるのだろうか。気になって仕方がないけど、いつも通りの平常心を保って、彼と会話をしながら帰った。私の家の方が彼よりも学校から近いため、先に私の家に着いた。着く前に雨が止んだため、途中からは傘を閉じて歩いた。こんなにも通り雨に怒りの感情が湧いたのは初めてだ。
「傘入れてくれてありがとう」
お礼を言った後に彼は、
「一緒に帰りたかったからね。また雨が降って、君が傘を持ってなかったらまた一緒に帰ろうね」
と言った。今度からは午前中晴れで、午後が雨の天気予報だったら、傘を持って行かなくていいかなぁと思ってしまった。
「わかった!また明日ね」
別れた後、リビングのソファに寝転んで抑えきれない興奮を何とか抑えようとしたが、なかなか収まらなかった。今までは濡れたり、湿気でベトベトしたりして、雨の日はあまり好きではなかったが、今日で雨の日が大好きになった。
また雨降らないかなぁ。次の雨の日が楽しみだ。