於菟

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8/28/2025, 7:38:17 AM

化学専門の彼に「詩は読んでいて恥ずかしくなる」と言われた事が幾度かあった。その意見を否定する訳じゃない。時々自分も詩を読んで感動した後、涙した事に恥ずかしさで本を投げ出したくなることもある。
だがしかし、数時間後にはその本を読み、また感動している自分がいるのだ。
本を読み終え寝床に着いた時
「自分にしてみれば、化学に魅せられる感情が
些か理解できない」
と考え眠りにつく事が多かった。
ふと思えば
自分は詩や小説に美しきを見いだせる。
彼が同じ感情を化学に抱いているのなら
それはきっと同士であり、分かり合える気がするのだ。

『少し違った似たもの同士』

8/6/2025, 12:46:39 PM

親から愛情を貰えたのはいつまでだっただろうか
もう遠い遠い記憶だ
親が離婚して、母は壊れた
愛は人を壊すのだと
幼いながらに実感した
そんな私は高校生になり
未だ''恋''だの''愛''だのと言う言葉に嫌悪感を感じる
「好きだよ」
こんな一言がなければ...私は常人で居れたのに
無駄に目で追いかけて
無駄に背を追って
無駄に嫉妬して...
自分の口から
「私の事好きって言ったのに...!!!!!」
と言う束縛するような言葉が出た時は
生きてきた中で1番の驚きだ。
【愛は人を壊す】
私もまた、母親と同じ道を辿るのだろうか

『愛情の一片が私を私じゃなくした』

8/5/2025, 1:10:25 PM

「おうじさまとけっこんできなきゃ泡になっちゃうの
かわいそうだね」
絵本の中のお姫様は、愛した人を殺すこともできず、
声も出せず泡になった
今でも思う。そんな彼女は心底可哀想
自分が助けたことも伝えれず横取りされた挙句
泡になって消えたのだから

高校生になって、恋をした
初恋だった
頑張って話しかけて、仲良くなって
連絡先も交換して
勝手に両思いなんじゃないかって浮かれてた
「ごめん!!俺彼女できたからもう遊べねぇわ」
「あ〜、!!まじか笑全然大丈夫!!うん、幸せに!!」
去っていく彼の足音と同時に
ガラスの割れた音が頭に響く
「好き」って言葉が喉に突っかかって気持ち悪い
なのに彼の笑顔はずっとずっとヒビが入らず
綺麗に残ってる
涙も出ない
急だったもん
私の初恋、こんなもんか....
帰り道
いつも見ているはずの、夕日が映る綺麗な海。
水平線が綺麗だけどもう見飽きた。
見たいつもの景色の筈なのに、
なんだか段々滲んできて
頬に涙が伝う
「どっかのプリンセスみたいに、泡になれたらなぁ」
そんな私の小さな願いは
静かな波音に攫われて
きっと泡になった彼女に届く

『泡になりたくなかった彼女と
泡になってしまいたい私』

8/4/2025, 8:14:33 AM

今年初めての花火大会
暑い中彼を誘って、ふたり浴衣で出店を回る
あれが欲しいこれが欲しいと言う私に
彼は笑顔で着いてきてくれた。
彼は無口な方。それが私の惚れた1つの要因。
でも正反対な性格に、1度不安になったことがある。
けどね、
「喋る私といて疲れない?」って聞いたら
「僕は話し下手だから...
それに、楽しそうに喋る君を見るのが好きだし」
って言われて再度惚れ直したのは言わずもがな!!
そんな事を思い出しながら綿菓子や炭酸、かき氷を買う
ここは楽園だ!!!!!

20:25
スマホを見ればもうそろそろ花火が上がる時間
段々人が多くなり、身動きが取れなくなる
ふと自分の手に彼の手が触れ
いわゆる恋人繋ぎをされた。
「?!!?///」
いつもこんな事しないのに!!!って心の中で叫びながら
何とか平然を保つ
20:30ブブッとスマホが振動し
リマインダーに
【彼と花火大会】と表示される。
「ねぇ」
ちょんちょんと肩を叩かれ彼の方を向くと
ぎゅっと抱きしめられた
「好きだよ」
耳元で聞こえた言われ慣れない言葉に
ぐわっと体温が上がる
驚いて彼の腕から脱出し
慌てた手つきで炭酸のキャップを開ける
急いで飲んだ炭酸はとてもぬるくて不味かった。
顔を顰めた私を見て
無口な君は「ふふっ」て笑う。
ドンッと鳴った花火は
彼の笑顔で霞んで見えた

『ぬるい炭酸と無口な君』

4/9/2025, 7:58:34 AM

高校に入学してもう1年が経った
振り返ればあっという間で、もう既に1年生に戻りたいとまで思う日々...。部活帰りの親友、美和との下校は当たり前になっていて、今日の何気ない話は
段々と恋バナになっていた。
「いいなって思う人いる??」
「え〜....いないかも
強いて言うなら和明くんかなぁ」
「そっか、同じクラスか」
「そうそう」
同じクラスで同じ部活の清水和明くん
いつからか話すようになっていて
今では下の名前で呼べるように。
一喜一憂する人で
小動物みたいですごく可愛い。
授業は爆睡するか、部活の参考動画を見ているかの印象が強い。優しいし話は合うし....
「ねぇ、、聞いてる限りそれってもう恋に落ちてない?」
「、、、、え''?!いやいやいや!!!そんなはず、、」
た、確かに思えばよく見ているようないないような
「ははーん、、無意識ね」
「にやにやすんな!!!!」
それからというもの、目が合えば逸らしてしまうし
話せば妙に心が踊る....。
「(あぁもう手遅れじゃん、!!!!)」
部活に本気な和明くんは恋愛の''れ''の字もないのだ、「片思い、、ね」
部活が同じなだけあって、彼の部活への本気度は理解
出来るし、彼の鈍感さも知っている。
私が告白して、彼を戸惑わせてしまっては
部活で本調子が出ないかもしれないし、今の関係が壊れてしまうかもしれない。
「辛いなぁ、、」
勝手に好きでいることは、許してよね


『片思い』

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