刹那の無垢
ほんの僅かな時間、日常は活動機能を失う
純粋な大地が、残骸のサウンドノイズに紛れて走りゆく
それが、刹那の無垢。
僅かに冷たい風が、僅かに轟く生活の音に触れる
僅かに動く残骸が、僅か一時の間うたた寝をする
僅かながらの時間。純粋無垢なその時間、その瞬間だけ、爽快な欲求を解放する。光に当てられる手前の無垢な深淵に紛れて、残骸は唯一の一時を我が身に充てる。
純粋無垢な刹那の殺伐。
刹那の無垢は、深淵にまみれた残骸の喜びだ。
【本当の恋】
「それでも恋と言ふならば、恋なのかもしれない」
離れてる時に寂しいのが、恋だと言った。
昼夜なく頭から離れないのが、恋だと言った。
視界にいると目で追うのが、恋だと言った。
前にすると胸が高鳴るのが、恋だと言った。
緊張して顔見れず話せないのが、恋だと言った。
そばにいたいと感じるのが、恋だと言った。
独り占めしたいと思うのが、恋だと言った。
本気で幸せを願うのが、恋だと言った。
恋をした。恋しくなった。
実際は、恋なんてしていない。
ただ、その人が好きだった。
一緒にいると幸せで、その人が幸せだと幸せで、その人と喧嘩をしても幸せで、「恋人だね」と笑いあってても幸せで、然るべき関係位置になっても、それはそれで幸せなのだ。
ただ、本当に好きなだけ、その人の幸せのためにはなんでもやれそうで、その人の幸せのために自分がなにかできた時、より一層幸せで、その人と在る人生そのものが私の幸せだ。
「恋」だとか「恋愛」だとか、それは憧れるだけ、実際は、そんなことよりその人の笑顔が見たくて、幸せな情報だけが聞きたくて、でも、たまに街で見るカップルに何だか妬けちゃって、少し寂しそうにするけど、なんだかんだで、その人といるのが好きで、やっぱり幸せだ。しいて、私の欲を言えば一生そばにいて欲しい。それだけ
恋したんじゃない。恋愛なんてご大層な名前の構造に興味はなくて、ただ、好きになっていつの間にやら愛しているだけ。それだけ
君はどう?
日めくりカレンダー
日をめくる
順を追って日をめくる。
今日が来る、その実感が湧く。
めくる瞬間に、思いふけてみる。
昨日の明日が訪れる。僕はその時何を思う。
めくる瞬間まで昨日だった。
昨日の僕は、もう僕では無い。
さようなら、めくった紙と共に
カレンダー
1から30、あるいは31、時々28
空いたそのマスが気になって、思わず余計にマスを埋める。隙間なんだか気になって、やっぱり何かでマスを埋める。満遍なく埋めきったら何だか無性に安心感。あらゆるものを浪費して、生きた証をカレンダーに遺す。生きてる心地がある。口うるさい友達は、私の生きた証になる。一緒に費やす友達も、私が生きてる証拠になる。