人生の邪魔をするなら殺してやる。
そのつもりで、今この瞬間から息をしている。
私の心臓を脅かすのであれば容赦しない。
殺す、殺す、殺して潰してやる。
私の人生を壊すな。壊されるぐらいなら殺してやる。
紅茶の香りを嗅ぐと、相棒の右京さんがいつも脳裏に浮かぶ
衣替えの時期になりました。もうすぐ冬が訪れますが、雪と同時にわたしの前に現れてくれる貴方に会う日を楽しみにしています。
出来れば、その日まで命が持って欲しいなと思います。わたしは九十を迎えました。雪の精霊である貴方と初めて出会った十二のわたしに比べて、だいぶお転婆さは消えましたけれど、あなたを恋い慕う想いは強くなるばかりです。
貴方は約束してくれましたね。冬の季節に命が尽きそうになるのであれば、俺が腕に包んで優しい死を与えると。そのおかげで昔から抱いていた死の恐怖が多少、薄れましたのよ。
わたしは冬の時期だけに会える貴方を、心待ちにしています。
鳥かごの中に、私が捕らえた蝶がいる。ひらひらと羽ばたく蝶の羽は絹みたいに滑らかで、動く度に羽の色が鮮やかに変わる。
ブルー、イエロー、グリーン、ブルー。
不思議な蝶だわ。ずっと見ていると、何だか蝶が膨らんで見えてくるわ。ほら、見て。鳥かごの中でポンプで風船が膨らむみたいにムクムクと大きくなってる。
ぎちっと鳥かごが音を立てる。鳥かごの柵が曲がる、どんどん蝶が大きくなってはち切れんばかりに膨らんで――鳥かごが水ヨーヨーのように破裂した。
鳥かごの破片が私に一直線に向かってくる。凄まじい衝撃と脳みそに鋭利な物体が突き刺さる感覚。
ぐらっと身体が仰向けに倒れる間際、巨大な蝶は窓を突き破って青空へと羽ばたいていった。破片が舞うように虹色に輝いて飛び散る。まるで水しぶきのように、美しく。
あぁ、閉じ込められるのが嫌だったのね。
私もそうよ。
閉じ込められた狭い世界は、嫌いよ。
これからも、ずっと私は小説を書くことも、考えることも、色んな本を読むのも好き。