海汐かや子

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衣替えの時期になりました。もうすぐ冬が訪れますが、雪と同時にわたしの前に現れてくれる貴方に会う日を楽しみにしています。

出来れば、その日まで命が持って欲しいなと思います。わたしは九十を迎えました。雪の精霊である貴方と初めて出会った十二のわたしに比べて、だいぶお転婆さは消えましたけれど、あなたを恋い慕う想いは強くなるばかりです。

貴方は約束してくれましたね。冬の季節に命が尽きそうになるのであれば、俺が腕に包んで優しい死を与えると。そのおかげで昔から抱いていた死の恐怖が多少、薄れましたのよ。

わたしは冬の時期だけに会える貴方を、心待ちにしています。

10/22/2024, 11:46:07 AM