やさか

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2/13/2024, 1:00:09 PM

 待っててね、と言われたのでもうしばらくここで待っているのだが、あいつはちっとも帰ってこず、何やらだんだんと騙されたような気になってきて、しかしながら、もうあんなやつのことは知らん、と言い切るにはまだ早いなと思い、そのまま結局ずいぶんと長いこと経ってから、もう帰ってこないだろうなあという諦めと、捨てられない愛着と、少しばかりの呪いとの狭間で、手紙を一通書くのである。いつ帰ってきても、わたしはまだ待っています。


 #待ってて

2/11/2024, 2:32:44 PM

 あなたを抱き寄せたぬくもりを覚えている。
 春風の匂いと、晴れた空の明るさ。
 少し濡れた足元の土の頼りなさ。
 遠くに聞こえた、タイトルも知らない歌の音色。
 胸の奥を叩く心臓の熱さと、吐息の震え。
 この場所で、あの日、二人で感じたなにもかも。
 わたしはまだここにいて、覚えている。
 あなたが、いつでも戻ってこられるように。


 #この場所で

2/10/2024, 3:52:29 PM

 誰もがみんな、あなたを愛してくれたらいいのにな。
 わたしのちっぽけな愛なんて必要なくなるくらいに。
 わたしの手を離れて、遠く遠くまで行けるように。
 優しさと慈しみに揺られて、穏やかに眠れるように。
 ただ、忘れないでくれたらいい。
 そのひとつめの愛が、わたしのものだったことを。


 #誰もがみんな

2/9/2024, 3:48:11 PM

 あなたが慈しんだのは、白。
 ぱっと華やかな赤よりも、つややかに深い青よりも。
 あなたの心の深くに根ざして、やがて咲いた色。
 いつかなにもかも思い出になっても、忘れはしない。
 かすみ草の花束を抱えた、あの日のあなたのことを。


 #花束

2/8/2024, 4:03:43 PM

 ほとんど、目だけで笑うひとだった。
 くちびるの端は、かすかにひきつるようだった。
 笑うのが下手で困るのだと言っていた。
 でも、あのひとの瞳はあんなに柔らかく光っていた。
 明け方に融けてゆく雪のように静かで、優しかった。
 あのひとの、そんな笑いかたが好きだった。
 その目を覗き込む相手にだけわかるものがあった。
 わたしはそれを知っていた。
 そして、きっと忘れない。ずっと。


 #スマイル

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