やさか

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 ほとんど、目だけで笑うひとだった。
 くちびるの端は、かすかにひきつるようだった。
 笑うのが下手で困るのだと言っていた。
 でも、あのひとの瞳はあんなに柔らかく光っていた。
 明け方に融けてゆく雪のように静かで、優しかった。
 あのひとの、そんな笑いかたが好きだった。
 その目を覗き込む相手にだけわかるものがあった。
 わたしはそれを知っていた。
 そして、きっと忘れない。ずっと。


 #スマイル

2/8/2024, 4:03:43 PM