やさか

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4/13/2023, 5:50:14 PM

 冬のよく晴れた青が好きだった。
 夏ではだめだ。春も、秋も、違う。
 肌を切り裂くように冷たい風の中、けっして届かない、高い薄い青がよかった。
 遠いというのがどういうことか、わたしはあの青に知ったのだ。
 君が最後に、わたしに笑ったあの快晴に。


 #快晴

4/12/2023, 4:31:18 PM

 星が落ちた、と君が言う。
 遠い遠い場所で、白い星が落ちたのだと。
 それは、わたしには見えない。
 白という色のこと、夜空という暗さのこと、星という光のこと。
 わたしの知らないものたちを、君が言葉にする。
 白。昼間の白はあたたかく、星の白は、少し冷たい。
 夜空。風のようにすうっとして、どこか寂しい。
 星。乾いた砂の粒に似て小さく、針先のように鋭い。
 君は、いつかわたしを連れて行ってくれると言う。
 わたしのこの眼では感じられないものを、手に取れる場所へ。
 いつか。いつかの未来に。


 #遠くの空へ

4/11/2023, 11:28:07 AM

 祈りだ。
 ただ、一心に祈っている。
 何をどうしてほしいのかは、言葉にできない。
 誰に祈っているのかも、さだかではない。
 けれど、ただ。
 ただ、祈っている。祈り続けている。いつまでも。


 #言葉にできない

4/10/2023, 2:48:02 PM

 華やかな赤。つややかな黄色。鈴生りの薄紅。
 この咲き乱れる花々の中で、本当に欲しいものは?
 君が、一番美しいと思う色は?
 尋ねられて笑う。
 わたし、あんたの瞳の色がいい。焙じ茶みたいな、深くて透明な色。
 ねえ、わたし今、この花畑でお茶が飲みたいな。
 あんたと、あんたの目みたいな色のお茶を。
 花は誰のためでもなく咲くけど、あんたは、わたしのためにお茶を淹れてくれるでしょう。
 わたしだけのために。
 花より団子なんて言うなよ。団子も、まあ、あったら嬉しいけど。


 #春爛漫

4/9/2023, 12:59:39 PM

 わたしはぎらぎらしていたい。
 輝かしい星なんかじゃなく。
 優しい木漏れ日なんかじゃなく。
 美しい水面なんかじゃなく。
 人を斬るための刃のように、氷を砕くアイスピックのように、地を割るツルハシのように、ぎらぎらしていたいんだ。
 誰よりも鋭い切っ先で、あなたの胸を抉じ開けたい。
 その心臓に届きたい。
 そのために、誰よりも、ずっと、ずっと、ずっと!


 #誰よりも、ずっと

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