君と歩いた道を今でも覚えている。
たまたま帰る時間が合って、珍しく一緒に帰ることになったのだ。
君とは幼馴染みのような関係だけど、二人だけで話したことはほとんどなくて、恐くて苦手だと思っていたけど、話してみたら、思ったよりも楽しく話せた。
でも、その後に薄情な君を知ったから、君のことを苦手だと思う気持ちはずっと変わっていない。
私は可愛い物やきれいな物が好きだ。
だけど、「夢見る少女のようだね」と言われても、あまりしっくりこなくて、「少年の心を忘れてないんだね」と言われたら、とてもしっくりした。
私の心の中には少女はいないかもしれないと、その時初めて気付いた。
私は行きたくないと思ったら、梃子でも動かない。
父が「さあ行こう」と何度も言ってきたのを無視して、本を読んでいたら、父に体育座りの状態のまま、まるで荷物を運ぶかのように持ち上げられて運ばれた。
父、ひょろい見た目なのに意外と力があるな、そんなに私と一緒に行きたかったのかと思った。
水たまりに映るロマンチックすぎる夕焼け空を見ていて、申し訳ない気持ちになってくる。
一緒に見ている相手が恋人ではなく、母で、親子で見る光景ではないと思った。
写真に撮ったのだけれど、ロマンチックすぎて何度見ても思わず笑ってしまう。
「ねぇ、書くもの忘れちゃったから、何か貸してくれない?」と彼女に言われて、ペンケースの中を探して、あまり使っていないシャーペンを渡した。
僕がいつも使っているものを使うのは彼女は嫌かなと思ったからだ。
「ありがとう」と言って彼女が離れていく。
授業が終わって「貸してくれてありがとう。それ、使い心地がいいね」と言って、彼女は微笑んで貸していたシャーペンを僕に返した。
ドキドキしてしまったのは、恋か、愛か、それとも、彼女と初めて話したことによる緊張のせいだったのか分からない。