パラ、パラ、サァー、サァー。
やさしい雨音が聞こえて、窓の外を見る。
外は雨が降っているのに、天気が良い日のように明るいのが不思議で、すぐに止む、通り雨なんだろうなと思った。
雨の日は暗くて憂鬱な気持ちになることが多いけど、明るいのに雨が降っているのを見たら、なんだか少し楽しい気持ちになった。
アニメを見ていてエンディングで流れた曲を聞いて、不思議な歌声だなと思った。
何年かしてから、その歌手にはまって、歌を何度も聞くようになった。
初めて聞いた時はただ不思議な歌声としか思っていなかったのに、こんなに好きになるとはその時には全く思っていなかった。
水族館からの帰り道、母と迷子になりかけた。
ツアー旅行中だけど、自由行動だったため、同じバスに乗っていた人達はもういなくて、時間厳守なので焦っていた。
「来た道を引き返せばいいんじゃない」と母が言ったが、「まって、まって、この地図を見ると、この道の方が早く着きそうだから」と私は母の言うことを聞かずに、地図を見ながらその道を探した。
やっとそれらしい道を発見して、歩いている途中で、通りがかった人にも道を訊いて、なんとか時間内にバスの場所まで着いた。
「一人だったら帰ってこれなかったかも」と母はほっとしたように言った。
無事に着いたことで、私が一度間違えて、変な道に行って無駄に歩かせてしまったことを、母が忘れたようで、怒られなくて良かった。
ずっと気になっているけどまだ読んだことがない本、買ったのに読まないままになっている本。
読まないままだと、その中にはずっとまだ知らない世界の物語があるんだなと思った。
手のひらくらいの大きさの小さなうさぎのぬいぐるみを手放す勇気が持てない。
もうそのぬいぐるみで遊ぶこともなく、手放してもいいと思うのだが、見ていると手放せない。
母から、小さい頃、私がどこに行くにもそのうさぎのぬいぐるみを持ち歩いていた、うさぎのぬいぐるみのお腹の部分をいつも押していたという話を聞いたら、余計に手放せなくなった。
今は小物を入れる籠の中で絆創膏の箱の上にちょこんと座っていて、たまに目にして、可愛いと心が和んでいる。