目が合った。
それはほんの一瞬だった。
吸い込まれてしまいそうな瞳は、僕の姿を写すこと無く消えた。
多分、向こうは覚えちゃいないだろう。
だけど僕は覚えてしまった。
『これから自分がしようとした事』をした人間がする顔を。
だけど、まぁ…。
あーあ。
先を越されてしまった。
今日はやめておこう。
『刹那』
僕が生きていたいと思ったのは君のおかげだ。
疲れた僕を何時でも君は癒してくれる。
「はぁ〜〜〜…まさに至高…」
その柔らかい毛並みに顔をうずめながら、思いっきり息を吸う。
我が家の同居猫、サクラちゃんそんな僕を見ては不機嫌そうに僕の手を引っ掻いた。
サクラちゃんが大きくなってから明らかに怪我の回数が増えてきたけど、そういう所もとてつもなく愛おしい。
君との生活を守るために、僕は明日も仕事に行く。
それが僕の生きる意味だから。
『生きる意味』
最後にひとつ。貴方が『悪』と判断した私からのアドバイスよ。
この世界には、無数の善と悪が存在する。けれど、それらは全て誰かの『正義』の上に成り立っているの。
この言葉の意味が分かるかしら?
あら、私は私を肯定するためにこの話をした訳じゃないのよ?
確かに私は貴方に正しいことをしたと思っているわ。だけど、それは必ず誰かの『悪』に成りうるなんて端からわかっているの。
ここを発つ貴方に、母親としての最後の『正義』をしているだけよ。
元気に生きるのよ。そしてもう二度と、ここに現れないで。
『善悪』
今日は流星群の極大日。
だけどあいにく曇り空で、見れそうにないや。
2時間粘ってみても空はうんともすんとも言わない。
溜息をつきながらひざ掛けを畳もうとしたその時、ほんのわずかだけど雲間が見えた。
そう言えば流れ星は観測するものだと覚える前、
「流れ星が流れている時、願いを3回唱えると叶う。」
というおまじないを教わった。
ダメ元で、祈ってみた。
「空が晴れますように。」
開いた目の中には、一番星が輝いていた。
『流れ星に願いを』
この服が似合う。
あの職業があなたに合ってる。
そんなものいらないでしょう。
私は決まって、
「ありがとう。」
「うん。」
「わかった。」
それだけを言い続けた。
でも最近なんだかおかしくなった。
錆び付いたロボットみたいに、上手く歩けない。
上手く喋れない。
どうして?
いつの間にか私の体には無数の糸が結ばれていた。
だから歩けなくなった。
だから喋れなくなった。
動けなくなったがらくた。
ぽつり、言葉が漏れる。
お願いだから、
私を縛り付けないで。
『ルール』